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バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 (2016)

BATMAN v SUPERMAN: DAWN OF JUSTICE

監督
ザック・スナイダー
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3.23 / 評価:4,455件

解説

世界的人気を誇るスーパーヒーロー、スーパーマンとバットマンが互いに全力を尽くしてバトルに挑む姿を描くアクション大作。英雄から一転、悪に傾倒したスーパーマン相手に激しい戦いを繰り広げる人類の最後の希望バットマンとの最終対決を映し出す。二大ヒーローを熱演するのは、『マン・オブ・スティール』に続きヘンリー・カヴィルと『アルゴ』などのベン・アフレック。人知を超えた能力を持つ男たちの死闘の行方も見どころ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

バットマン(ベン・アフレック)は、両親の殺害現場を目撃したという過去のトラウマから犯罪者一掃に力を注ぎ、一方超人的能力を持つスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)は、その力を人類のために惜しみなく使ってきた。だが、その破壊力の強大さゆえに、スーパーマンは人々からバッシングを受けるようになり……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC
(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」善とは、力とは、正義とは。自問する両雄の激突は、悩める世界の合わせ鏡

 絵空事の典型のようなアメリカンコミックのスーパーヒーローは、しかし、常に時代を映す鏡だった。元祖アメコミヒーローの「スーパーマン」が誕生したのは、第二次大戦前夜の欧州でナチスドイツがユダヤ人迫害を強め、米国では大恐慌を経て社会不安が高まる1938年のこと。貧しいユダヤ系難民の子として育ちオハイオ州クリーブランドで出会った2人の若者が、超人的な力をもって世の悪事や災厄から弱者を助ける“救世主”を夢想し、漫画に描いたのだ。

 人気を博したスーパーマンがアニメ化、映画化されたのはもちろん、39年の「バットマン」をはじめ数多くのヒーロー漫画が生まれる契機にもなった。さらに、DCコミックの正義の味方が同盟を結ぶ「ジャスティス・リーグ」も、米ソ冷戦の危機を迎えていた60年に初登場。実写映画化としてはマーベル・コミックのヒーローが結集する「アベンジャーズ」(2012年)に先行されたが、今作「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」でついに、両雄がスクリーン上で初めて顔を合わせる。

 ストーリー的には13年の「マン・オブ・スティール」の続編となり、クラーク・ケント=スーパーマン役のヘンリー・カビルほか主要キャストと、製作のクリストファー・ノーラン、監督のザック・スナイダー、脚本のデビッド・S・ゴイヤーが続投。冒頭、前作でのスーパーマンとゾッド将軍の戦いが再現されるが、ブルース・ウェイン=バットマンの視点で描き直されるメトロポリスの光景は、高層ビルに突入する飛行体、崩落する建物、瓦礫と粉塵に飲み込まれる人々など、9・11テロのニューヨークを容易に想起させる。強大な力を持つがゆえに、抗う敵との戦いは、街と市民に甚大な被害をもたらす。スーパーマンを人類の脅威とみなすバットマンに、宿敵レックス・ルーサーの策略もからんで、いよいよ正義の両雄は自らの善を貫くため対決する。

 異星人のスーパーマンが本来の能力なら人間に負けるはずはないが、バットマンとレックスにフィジカルやメンタルの弱点を突かれ、勝負の行方は分からなくなる。CGを駆使した超高速アクションがヒーロー映画で全盛の昨今、バットマンとハンディを負ったスーパーマンの肉体のぶつかり合いを実感させるファイトは見応え十分。スナイダー監督が「300 スリーハンドレッド」「ウォッチメン」で見せた鮮烈なスローモーションは、アクションシーンではないものの、いくつかの場面で印象的に挿入されている。

 ノーラン監督、ゴイヤー脚本の「ダークナイト」3部作は完結し、今回バットマン役にはベン・アフレックが起用されたが、同3部作のダークな基調は新バットマンのキャラクター設定に継承されただけでなく、本作全体に影を落としているように感じる。世界のリーダーたる米国の威信が薄れ、各国で銃や爆弾によるテロが相次ぎ、政治や世論が右傾化する当世のムードを、観客が投影する面もあるだろう。それでもなお、暗い時代に希望を失わず、障害や対立を超克して手を携えることを、私たちに訴えかけているように思えてならない。(高森郁哉)

映画.com(外部リンク)

2016年3月31日 更新

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