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Dressing Up ドレッシングアップ (2012)

監督
安川有果
  • みたいムービー 18
  • みたログ 50

2.89 / 評価:38件

思春期の少女はモンスター

  • bakeneko さん
  • 2016年4月19日 8時41分
  • 閲覧数 1490
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

父親と二人暮らしの中学一年の少女が、引っ越し荷物を整理している際に幼い頃に死んだと聞かされていた母親のノートを見つけて、自分の血の秘密を知っていく…という関西を舞台にした「イノセントガーデン」風のお話で、少女特有の鋭敏な神経と潔癖な生理感覚が肥大して煮詰まって行く様子は「反撥」、次第に精神が犯されていく心象描写は「鏡の中にある如く」…とサイコスリラーの名作を彷彿とさせながら、日本的な感覚も加味した思春期ドラマに惹き込んでくれます。

低予算と限定されたロケ地と時間でよく頑張っている作品で、「ナイトウォーカー」風特殊メイクアップの出来映えとなかなか怪異を見せない&妄想の可能性を残す作劇は見事であります。

思春期前期の中学一年のざわめき始める心の焦燥を掬い取った作品で、若く思春期の記憶が新しい女性監督だからこそ描き得た映画であります。

ねたばれ?
ああっぬいぐるみが…

おまけー同じく思春期を活写したレビュー項目に無い映画の紹介を

結構金が掛かるいたずらだな~
「ヴァンダル―青春のグラフティー」(2013年フランス、ベルギー:84分)監督:エリエ・システルヌ、出演:ジネディーヌ・ベンチェニンヌ、クロエ・ルセール

母親の新しい恋人と折り合いが悪く、荒んだ生活から身を立て直すために、母親の姉が住むストラスブールに越してきたアラブ人とフランス人の混血の15歳の少年が、地元の不良少年と衝突しながら左官工としての職業訓練を受ける日々の中で、同居しているいとこに誘われて、グラフティペイント(壁にラッカーで落書きするやつね)に熱中する少年団に仲間入りする。そして、同じ町を縄張りにして張り合っている一匹狼のペイント達人の”ヴァンダル”の正体探しに躍起になるが…という思春期の少年の疾風怒濤の蒼い時間を活写していく作品で、複雑な家庭状況やフランスの不良少年の生態もリアルに描かれています。
特にアラブ系の人達がフランスの地方にもしっかり自分達のコミュニティを創り上げている点が興味深く、フランス語とアラブ語の両方を使う主人公の少年のどっちつかずの息が詰まる感覚を上手く掬い取っています。
ケン・ローチの「SWEET SIXTEEN」の様に、複雑な境遇で苦闘する思春期の少年の心を見事に描き出した作品で、フレンチ系の街には必ず在る”グラフティペイント”の書き方&デザインにも詳しくなれますよ!

ねたばれ?
直接ラッカーを肌に吹き付けたらかぶれるって!

彼氏を帰さない画期的な方法!
「女の子が好き」(2010年フランス:92分)監督:フレデリック・ルフ、出演:ピエール・ニネ、オドレイ・パスティアン、ルー・ド・ラージュ

タイトルはパトリック・カウティンの1981年のヒット曲に因んでいて、1981年に18歳の青春を送るプリモの身分違いの恋の苦闘を、社会主義政権が誕生した当時の世相の中に活写していきます。

「イヴ・サンローラン」でも好演していた”蚊トンボ青年”:ピエール・ニネが、ブルジョワ階級の女学生(ルー・ド・ラージュ)に恋する花屋の息子に扮して青春を爆走する作品で、出自を裕福な階級と偽っての涙ぐましい奮闘で笑わせてくれます。
フランスのブルジョワ階級と労働者階級の対比が辛辣に映し出される作品で、主人公の親友の共産主義青年と右翼活動家のビラ貼り合戦も大笑いできます。
そして、主人公を見つめるもう一人の女学生(オドレイ・パスティアン)が素敵に可愛く魅力的で、積極的に主人公に迫る様子や娘を見守る父親の捌けた気配りもフランス的であります。
また、ミュッセの戯曲”戯れに恋はすまじ(On ne badine pas avec l'amour)”が引用される―”男女の駆け引きに関する箴言”は恋愛に人生の価値を置くフランス人の原典を見せてくれますし、人種間に平等な”日雇い抽選システム”やバブル期の日本人観光娘といった風景も興味津々であります。

最近日本でも話題になった”経歴詐称”の恋愛奮闘譚で、青春は万国共通に恥ずかしいものであることが活写されていますよ!

ねたばれ?
1、ブルジョワの子女達でさえ”わぁ1800フランだって!物凄い値段のワインだ!”と劇中で語られるので、当時の為替レートを調べてみると、日本円にして9万円と意外と安価!バブル期に1本20万円のドンペリをがぶ飲みしていた日本人よりフランス人は常識的だなあ~
2、ブルジョワの学生達が観ていた映画はジャクリーヌ・ササールとジャン・ルイ・トランティニャンが共演した「激しい季節」(1959年)で、イタリア語版が掛かっています(フランス人って馬鹿息子レベルでもイタリア語が堪能なのかな?)。

詳細評価

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