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オデッセイ (2015)

THE MARTIAN

監督
リドリー・スコット
  • みたいムービー 1,848
  • みたログ 1.4万

3.84 / 評価:11158件

「宇宙を正しく描いた映画」に出会えました

  • pen2 さん
  • 2016年2月7日 15時01分
  • 役立ち度 34
    • 総合評価
    • ★★★★★

(※原作はまだ読んでいません、すみません。)

久しぶりに「宇宙を正しく描いた映画」に出会えました。宇宙への長期滞在や、火星有人探査の計画が検討される中で、事前に次の計画のMAV(Mars Ascent Vehicle の略?)を事前に用意しているところとか、最新の検討を基に、構成と演出がなされていると感じます。1日をちゃんと Sol(火星日)で表現しているのもいいですね。

登場人物の恐ろしいほどの前向きさも、リアルです。有人火星探査は、スペースシャトルや国際宇宙ステーションなど地球低軌道とは比べ物にならないほどの難しいものです。救助にも行けないし、すぐに帰ってくる事もできないので、何か問題があった場合、乗組員だけで解決する必要があります。例えば、機械が壊れたら自分たちで直さなければいけませんし、簡単な手術もできないといけない。死と隣合わせで狭い宇宙船の中、何ヶ月も仲間とうまくやっていく、強いメンタルとフォロワーシップも必要です。

そういう意味で、この映画はそれらの要素がとてもよく表現されていて、見ていて大変気持ちが良かったです。逆に、現実に即しすぎているために、観る人によっては嘘っぽく感じることがあるのが、残念かもしれません。例えば、「なんでアレス3の宇宙船を引き帰らせないの?」とか「なんで中国なの?」とか「ワトニーがポジティブすぎる」とか。火星ミッションの構成を考えれば、あとは地球に帰るしかないし、いずれ中国はSLS(Space Launch System)級のロケットを持つ唯一の国になるでしょう。

ただ、いくつか違和感のあったところもあるので、簡単に書き残しておきます。もしかしたら原作などを読めばわかるのかもしれません。


・火星重力の描写
地球の約60%という火星重力についてはあまり描画されていない気がします。ただ、爆発でワトニーが派手に吹っ飛んだので、それで表現しているのかもしれません。

・水の生成とRTG
芋の生育のため、酸素と水素から水(水蒸気?)を作るシーンがありますが、いくら化学の知識があったとしても、猛毒のロケット燃料のヒドラジンを使うのはさすがに危険過ぎる気がします。RTG(核燃料電池)をヒーター代わりにするのも、一歩間違えば重篤な被爆のリスクがあります。

・嵐の被害状況をすぐ撮影しなかったのはなぜか
「飛行士の死体が映るから」という理由で長官が拒否していますが、被害状況を確認するのは次の火星計画のためにも重要です。そして映画でもよく出てきましたが、火星観測衛星の解像度は低すぎて、人間の姿など殆ど映らないでしょう。NASAの長官が、なぜそんな単純なことに気が付かなかったのでしょうか。

・ハブと探査車はどうやって持ち込んだか
ワトニーたちが暮らしている居住スペース「ハブ」はかなり大型ですが、どのように持ち込んだものでしょうか。次の探査のMAVの位置が遠すぎるので、ハブの再利用は前提とされていないように見えますから、使い捨てということなのでしょうか…?

・太陽神ブースターの性能
地球をスイングバイする往復船に荷物を届けるわけですから、JPLの補給物資船を火星遷移軌道に直接打ち上げる性能が、太陽神ロケットには必要です。ちらっとしか映らなかったのでわかりませんが、ふつうの「長征ロケット」のようにも見えたので、あれでは性能が不足していないでしょうか。

・探査機はどう直したのか
マーズ・パスファインダーを再起動しているシーンが有りますが、どうやって直したのか、よくわかりません。ただ単に電力を供給したようにも見えますが、探査機と彼らの宇宙計画の電源装置の仕様は全く違うでしょうし、ただそれをするだけでも、植物学者のワトニーには相当難しかったでしょう。


つらつら面倒くさいことを書いてしまいましたが、他に大きな違和感は感じませんでしたし、おかげでストーリーとか出演者の演技に引き込まれました。こういう作品で科学公証は重要ではないという意見もありますが、それが正しくないと集中できないし、誰かに勧めたい作品にはならないなと感じます。

詳細評価

物語
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演出
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