ここから本文です

残穢【ざんえ】 -住んではいけない部屋- (2015)

監督
中村義洋
  • みたいムービー 272
  • みたログ 1,771

3.28 / 評価:1,450件

解説

「屍鬼」などで知られるベストセラー作家・小野不由美の本格ホラー小説「残穢」を、『予告犯』などの中村義洋監督が映画化。読者の女子大生から「今住んでいる部屋で、奇妙な音がする」という手紙を受け取ったミステリー小説家が、二人で異変を調査するうちに驚くべき真実が浮かび上がってくるさまを描く。主人公には中村監督とは5度目のタッグとなる竹内結子、彼女と一緒に事件の調査に乗り出す大学生を、『リトル・フォレスト』シリーズなど橋本愛が演じる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

ミステリー小説家である私(竹内結子)に、読者の女子大生・久保さん(橋本愛)から自分が住んでいる部屋で変な音がするという手紙が届く。早速二人で調べてみると、そのマンションに以前住んでいた人々が自殺や心中、殺人などの事件を起こしていたことが判明。久保さんの部屋で生じる音の正体、そして一連の事件の謎について調査していくうちに、予想だにしなかった事実がわかり……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2016「残穢 住んではいけない部屋」製作委員会
(C)2016「残穢 住んではいけない部屋」製作委員会

「残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋」多様化するJホラー界において、久々に正攻法なアプローチで観客を震え上がらせる

 引っ越してきたばかりのマンションの部屋で、何かが畳を擦るような音がする……。ある女性小説家のもとに寄せられた、怪奇現象を訴える不思議な読者投稿。そこで小説家が起因を探っていくと、近づいた者に災いをもたらす「穢(けが)れ」の存在が明らかになる。

 自分の住んでいる土地には、過去に忌まわしい出来事や陰惨な事件があったのではないかーー? 誰もが漠然と感じている疑問に冷ややかな答えを出すのが、この恐怖映画の役割だ。小野不由美の原作は実話系怪談をヒントにしたリアルホラー小説の傑作で、虚実をないまぜにした実録ドキュメントの文調で書かれているが、その持ち味を損ねることなくドラマ変換に成功している。

 マンションに起こる怪異を探るうちに、元凶が「穢れ」という死者の怨念にあり、それが感染拡大していくという展開は、いわゆる「リング」(98)や「呪怨」(00)を筆頭とするJホラーの系譜にあるものだ。しかし本作はJホラー的なショック演出を極力排し、ゾッとするような状況設定と観る者の想像力で恐怖を増幅させていく。今やJホラーが進化し、多彩な恐怖のありようを見せている邦画界において、久々に正攻法なアプローチで観客を震え上がらせる。

 監督は「アヒルと鴨のコインロッカー」(07)「ゴールデンスランバー」(10)の中村義洋。劇場長編作のフィルモグラフィだけを俯瞰すれば、ホラーとは繋がりが弱い気がするが、どっこい「おわかりいただけただろうか?」の語りで知られるオリジナルビデオ「ほんとにあった! 呪いのビデオ」シリーズのメインクリエイターだ。いわば投稿怪談のひとつのフォーマットを確立させた張本人であり、こうした題材にうってつけの剛の者といえる。

 原作では実在のミステリー作家らが登場してリアリティを高めているが、映画ではそれらが架空の人物に変えられている。それでも平山夢明氏をモデルにしたとおぼしきキャラ、平岡芳明(佐々木蔵之介)は本作で突出した印象を残す。実話系怪談を追求していくうちに、自ら怪しさの化身となったその異質ぶりは、東京国際映画祭でのプレス試写に参加した海外マスコミに引きつり笑いをもたらしていた。題材は土着的だが、恐怖に国境はない。(尾崎一男)

映画.com(外部リンク)

2016年1月21日 更新

本文はここまでです このページの先頭へ