あらすじ・解説
1939年11月8日、ドイツ・ミュンヘンでナチス指導者のヒトラーの演説が行われた。演説を予定よりも早く終わらせ退場したヒトラーだったが、その直後、会場が爆破される。逮捕されたのは、ゲオルグ・エルザー(クリスティアン・フリーデル)という男だった。ゲシュタポは犯行の黒幕を吐かせようとエルザーを拷問にかけるが、彼は爆破装置の製作や設置を一人で行ったと告白する。
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作品レビュー(99件)
- stanleyk2001
4.0点
『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(Elser)2015 原題は主人公ゲオルク・エルサーの名前。1939年(昭和14年)11月8日にミュンヘンのビアホールで行われたヒトラーの演説会で起きた暗殺未遂事件を起こしたエルサーの物語。 エルサーは時限爆弾を使ってヒトラー暗殺を試みたが霧の発生という天候の変化でヒトラーは帰路を飛行機から陸路に変えた。そのため演説を13分間早く切り上げて会場から立ち去った。ヒトラーがいないビアホールで爆弾は爆発し7人が死亡した。(後に重体の被害者が亡くなって死亡者は8人) スイスへの国境を越えようとしていたエルサーは逮捕され所持品を怪しまれ軍警察ネーベ長官とゲシュタポによる尋問が開始される。 エルサーは名前すら答えず黙秘権を行使するがマットレスを外したスプリングだけのベッドにうつ伏せに寝かせられて背中を鞭打たれる。 うわーこの拷問を延々と見せられるのかと思ったが1932年から事件が起きた39年までの回想が途中で挿入される。そしてもと婚約者が連行されるに至りエルサーは黙秘をやめて尋問に答え始める。 1932年はナチスが選挙で第1党になった年。ナチスは合法的な法改正でナチス以外の政党を禁止し大統領が死亡するとヒトラーが首相と大統領を兼務できる様にした。国会内では法律で次々と権力を握り国会の外では「長いナイフの夜」事件、「水晶の夜」事件などの暴力で反対勢力を粛正していった。1939年にはチェコスロバキアを併合、ポーランド侵攻を計画した。 エルサーが住む村では最初はナチスは「変な奴ら」だった。共産党員達と何かとぶつかっていた。エルサーは共産党員ではなくシンパだった。 次第にナチスは村の中で勢力を広げユダヤ人を差別していく。 ナチスが工場の管理をする様になって工員の給与は下がり生活が苦しくなった。友人の共産党員は逮捕され強制労働をさせられた。さらに戦争準備を始めたナチスを見てエルサーは「ナチスの最高指導部を排除しなくてはドイツは良くならない」と考えるに至る。 時計職人の経験があるエルサーは精密な時限発火装置をたった1人で作り上げる。 しかしナチスは誰が黒幕がいるはずだと執拗に追及する。ヒトラーは英国情報部の陰謀を疑っていた。しかし自白剤を使ってもエルサーは仲間はいないというばかり。ナチスの高官は逆上するが単独犯だと認めざるを得ない。 エルサーは国家反逆罪や殺人罪に問われたのだが死刑にはならなかった。1945年4月9日に処刑されるまでダッハウ収容所に収容されていた。 なぜ事件後すぐに死刑にならなかったのか?かつてエルサーを尋問した警察官僚ネーベは映画「ワルキューレ」で描かれた暗殺事件に連座して針金で絞首刑に処せられたのに。(この映画ではその場面も息を引き取るまでワンカットで描かれている) 一般市民がヒトラーに叛旗を翻したのは不都合な真実だったからだろうか? 東西冷戦時代エルサーは正しく評価されていなかった。西ドイツからは「共産党員」と見做され東ドイツはナチスを倒したのはソ連だと主張した。 この映画によって1939年にヒトラー暗殺をたった一人で試みたエルサーという人物を映画史にとどめることができた。 主演のクリスティアン・フリーデルは容姿もエルサーによく似ている。真に迫る熱演だ。拷問の場面はトラウマになるのではないかと思えるほどだ。 この映画を観て気がついた事が二つある。同じ全体主義国家でもドイツと日本は色々違うなという事。 (1)ドイツは家制度がない エルサーは夫から暴力を振るわれている人妻エルザと恋仲になる。エルサーの母親は不倫を批判するが強く反対もしない。エルサーの父親はアル中で全く権威がない。 不倫事件が起きても家名を傷つけたなどと親や親戚が圧力かけたり周囲が非難したりすることはない。 (2)法治主義が守られている。 自白を得る為に拷問はした。しかしいったんエルサーが黙秘を止めると尋問は紳士的だし単独犯だったことを事実として認めた。ナチス上層部の描いた筋書き(英国情報部あるいは共産党の陰謀)に合わせる為に自白を書き換えることはしなかった。 国家の為に事実を捻じ曲げることはしなかった。 この二つが日本とは違うと思った。日本はまだあちこちに家制度が残ってる。男尊女卑も。そして国の為にという名目で本当は政治家のために公文書が改竄される。 ドイツは全体主義を徹底的に排除した様だが日本はまだ大日本帝国の精神(権威主義)が残っている。
- fiv********
4.0点
暗殺計画から実行そして未遂に終わる順番に描くのかと思っていたらまったく違った。 ヒトラーの演説会場に爆弾を仕掛けるのは、田舎の家具職人ゲオルク・エルザー。 映画の内容はナチスに捕えられたエルザーが生々しい拷問を受けるシーンと事件を起こすまでの彼が描かれている。
- pip********
3.0点
ネタバレ邦題はそそられたけど
このレビューにはネタバレが含まれています。 - しーもあ
2.0点
ドイツ人はなんでもヒトラーとナチス罪を押し付けるが、現実には大多数のドイツ人がヒトラーとナチスを支持していた。敗戦後に急に被害者になったり、一部のドイツ人を殊更にヒーローに仕立てるストーリーを作り出している。たとえばシンドラーも、人道上の理由ではなく、ユダヤ人を安い労働力として使っていたのは疑いようがない。こういうのは歴史の改竄で、真実の反省とは言えない。
- mog********
4.0点
本筋の感想ではないが。 自分の注意不足かもしれないが、エルザとエルザーという同じような名で、途中一時わからなくなった。
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