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ハッピーアワー (2015)

監督
濱口竜介
  • みたいムービー 68
  • みたログ 140

3.25 / 評価:97件

ごついものにぶつかってしまったな、と。

  • nak***** さん
  • 2016年4月3日 11時43分
  • 閲覧数 1834
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

私は、松山のシネマルナティックで上映されていたので前売り券のイッキ見チケットをに事前購入して、4/2(土)観賞に行きました。

結論からいうと、この映画鑑賞体験は私にとって人生を変えるほど衝撃的なインパクトをもたらしました。
長時間映画に浸っていたせいもあるかもしれませんが、
それ以上に心にグッとくるものがありすぎて他人と言葉をやりとりするのも困難なほど感無量な心持ちになりました。

これは決して、世間をゆるがすハプニングや謀略的な事件を大々的に打ち出した映画ではなく、淡々と日常で起こりうる普通の生活風景がいくつも映し出される作品です。

それゆえに、これまで見てきた映画やドラマがこの作品に比べると、
良い意味でも悪い意味でも、緻密に計算されて創られた「数学」のように感じてしまいました。
ファンタジーの入り込む余地のない、圧倒的に自然体な、日常の世界観がこの作品を覆い尽くしていました。
観賞中、自分がスクリーンの中にいる役者さんたちと同じ空間にいるような錯覚に何度も陥りました。
だからこそ、それが余計に残酷に感じる部分もありました。

時間にして5時間17分。3部作仕立てなのでインターバルを挟むとおよそ6時間近くになるが、これほど長時間を劇場の中で過ごしたのは人生で初めてでした。
しかし、私は長いとかけだるいといったことは、まったく感じませんでした。
むしろ、これからどうなるんだろう?彼女たちはどうするんだろう?と興味は尽きませんでしたので、この映画に夢中でのめり込んでいくことができました。

「重心」を題材にしたセミナー、セミナーの打ち上げ、離婚裁判、熱海での旅行、中学生の息子が彼女を妊娠させる騒動、女性作家の朗読会、朗読会の打ち上げ…様々なイベントを通して彼女たちは自身の言葉を紡ぎだし、他者と同じ時間を共有していきます。

そのやり取りの中で、彼女たち4人の意識になにかが芽生え、いつしか変わっていきます。
とくに彼女たち4人を巡り合わせた張本人である純がフェードアウトしてからのそれはきわめて顕著でした。
もっとも彼女が欠けるまでそして欠けてからの過程もその原因かもしれませんが、4人だから保ってこれたバランスが崩れたからおとずれた「決壊」がその後の3人の運命を変えたといってもいいでしょう。

世間一般で言われる「不倫」というものに対するイメージは悪であることが多いです。もちろん、私も不倫は悪いことだと認識していましたが、劇中、不覚にもそのイメージが一瞬だけ揺らいでしまいました。
ですが、桜子の夫がうずくまるあのシーンを見ると、彼女の衝動的な不貞行為は、他人を傷つけるよくないものだとあらためて感じました。

ちなみに、魅力的な登場人物が多いなか、メインの女性4人について個人的な意見を述べると、芙美には好感も共感も持てたが、ほかの3人には共感できる部分はいくつかあったんですが、総合的にいえば好感を持てなかったというのが正直な感想です。(それでも、まあ魅力的であることには変わりませんが)

また、正義とか幸せとか、ひょっとするとその人個人の中でしか存在しないかもしれないそういうものを
他人と共有することの難しさをこの作品ではテーマの一つとして取り扱ってくださっています。
こんな素晴らしい作品に出合えて本当によかったです。

最後に…Blu-ray版が発売されたら絶対買って、部屋を暗くしてケータイの電源を切って、パソコンで再生しながらヘッドフォンで視聴します。(笑)

詳細評価

物語
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