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美術館を手玉にとった男 (2014)

ART AND CRAFT

監督
サム・カルマン
ジェニファー・グラウスマン
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3.29 / 評価:41件

解説

30年にわたりアメリカの美術館をだまし続けた希代の贋作(がんさく)画家マーク・ランディス氏を追ったドキュメンタリー。精巧な贋作を作り続けては金もうけをすることなく20州、46か所の美術館に無償で寄贈していたランディス氏の素顔に迫るとともに、執拗(しつよう)に彼を追い詰めていく人々やだまされた人々の姿を通し、さまざまな感情をユーモラスに活写する。監督は、以前ニューヨーク近代美術館で働いていたジェニファー・グラウスマンと画家の活動経験を持つサム・カルマン。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

2011年、アメリカ20州46か所の美術館に展示されていた作品がマーク・ランディスという男性によって制作され、全て無償で寄贈された偽物であったという事件がさまざまなメディアで報道された。金もうけを目的としていないことから彼は罪に問われなかったが、なぜランディス氏はそのようなことを30年も続けてきたのか。特異な贋作(がんさく)作家の素顔に迫る。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)Purple Parrot Films
(C)Purple Parrot Films

「美術館を手玉にとった男」善意の贋作者の奇妙な人生、奇妙な魅力

 本作は、30年間に渡って美術館に名画の贋作を無償で寄贈し続けた男のドキュメンタリーである。まずこのプロットを聞いただけでワクワクする。一見して男の動機はわからない。わからないからこそ非常に惹かれる。しかもフィクションではなく、実話であり、カメラの前で贋作の寄贈を喜々として行っている。「事実は小説より奇なり」と言うが、本作ではまさに創作された物語よりも奇妙な男の人生を目撃できる。

 贋作者、マーク・ランディスは全米の美術館に自ら制作した精巧な贋作を、慈善事業と称して全米中の美術館に無償で寄贈し続けた。金目的ではない、自身の名も残らないので名誉のためでもない。ただ純粋な善意と創作意欲があるのみだ。自分の作品を作るべきだと助言する人もいるが、彼にとっては贋作の方がずっと価値があるようだ。

 映画はこの奇妙な贋作者の生活と生い立ち、彼が贋作を寄贈した美術館関係者のインタビュー、そしてランディスと美術館員たちとのやり取りなどで構成される。美術館員の中でとりわけ重要な存在が、最初に贋作を発見した当時オクラホマ美術館の職員だったマシュー・レイニンガーだ。彼はオクラホマ美術館を辞め、無職の時も彼の情報を集めることを欠かさず、シンシナティ美術館に移ってからも取り憑かれたようにランディスの行動を追い続けていた。彼のランディスを追う動機もじつに不確かである。騙された復讐でもない、社会正義のためでもない。ただ純粋にマーク・ランディスという奇妙な男に惹かれているかのようだ。ジョージ・マロリーが「そこに山があるから」登山するように、レイニンガーも「そこにランディスがいるから」追いかけるのだろう。

 悪意のない情熱は見ていて心地よい。2人とも純粋すぎて、なんだか微笑ましい。気がついたら筆者もわけもわからずこの2人に惹かれていた。(杉本穂高)

映画.com(外部リンク)

2015年11月19日 更新

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