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ペット
2016年8月11日公開

ペット

THE SECRET LIFE OF PETS

872016年8月11日公開

アニカ・ナットクラッカー

4.0

青い目の白うさぎスノーボールが陰の主役

今回取り上げるのは2016年のCGアニメ『ペット』。イルミネーション・スタジオの作品レビューを書き込むのは「SING/シング」に続いて2作目だ。日本では16年の8月に公開され、7月末の「シン・ゴジラ」、8月下旬の「君の名は。」という2大作に挟まれながら、興収42億円と健闘している。本作のヒットを受けて続編の「ペット2」が19年に公開されたが、こちらは21億6千万円と前作の半分にとどまった。 本作の主役は小型犬のマックス(声:設楽統)と毛むくじゃらの大型犬デューク(声:日村勇紀)のコンビだ。同様のコンビでは「トイ・ストーリー」のウッディとバズ、「モンスターズ・インク」のサリーとマイク、古くは「スター・ウォーズ」のC-3POとR2-D2、さらにはその元ネタである「隠し砦の三悪人」の太平と又七が思い浮かぶ。 舞台はニューヨークで、地上や室内だけでなく地下世界、水中、空の上とペットの目から見るあらゆる場所が舞台になり、ニューヨークの観光映画としての見方もできる。冒頭に登場するのがセントラルパーク、クライマックスの舞台となるのがブルックリン橋で、いずれもニューヨークを代表する観光名所である。本作を観る際には、マンハッタンとブルックリンの位置関係を頭に入れておくとより楽しめるだろう。 僕はニューヨークを訪れたことがあるが、ヨーロッパのツアー旅行の際に、帰りの飛行機がダブルブッキングのため乗れず、急きょニューヨークに一泊して太平洋を渡って帰ったことがある。そのためニューヨークではまともな観光もできず、ちょっと悔しい思いである。 そんな僕が偉そうに言うのもなんだが、マンハッタンをバスで通ったときに思ったのは「えらく道路がボコボコしている。東京の滑らかな道路とは全然違う」であった。本作にはポップス(声:銀河万丈)という、後ろ脚に車輪を付けた老犬が登場するが、映画のように街中を駆け回るのは大変だろうと思う。ラストでポップスが老人の飼い主を迎えるシーン。「このコンビは大都会の片隅で、励まし合って生きてきたのだろう」と思い、最も感動した場面である。 白うさぎのスノーボール(声:中尾隆聖)は、本作で最もぶっ飛んだキャラである。ニューヨークの地下に本拠地を構え、人間から捨てられたペットたちの軍団を結成して、人間への復讐の機会をうかがっている。メンバーには巨大なワニや大蛇(作中で唯一死んでしまう)、ピラニアや蜘蛛などがおり、ペット大国アメリカの暗部を垣間見ることができる。 白うさぎとワニの組み合わせは「因幡の白うさぎ」を連想させる。スノーボールは一から仲間を募って組織を作り上げたのか、既にある組織を誰かから引き継いだのか、その辺が気になったところである。この場面は捨てられたワニが変異する「アリゲーター」や「ピラニア」「アナコンダ」「巨大クモ軍団の襲撃」「吸血の群れ」といった動物パニック映画を思い出した。 いちばん笑えたのは、人間を殺したと称するマックスとデュークに「どうやって殺したのか話せ」と迫る場面だ。具体的にどこが可笑しいか説明が難しいが・・・。動物管理局のバンを襲撃する行動力はあるが、人間を殺すほど大それた勇気はないスノーボールと、人間に危害を加えることさえ想像できない2匹の、強がりと遠慮が交錯するやり取りが面白かった。 スノーボールの人類への反逆は、ある日突然終わりを告げる。路上で小さい女の子に見つかり「可愛い!このうさぎ飼ってもいい?」と拉致されてしまうのだ。一緒にいた取り巻きたちは静かに姿を消す。「あんたを愛してくれる飼い主が現れた。良かったな」と言わんばかりに。劇中の最強キャラであったスノーボールも、飼い主の愛に対しては全く無力であったのだ。 ペットたちの物語なので登場する動物は犬や猫が中心だが、猛禽類のタイベリアス(声:宮野真守)といった珍しい動物も登場する。僕が動物園以外で猛禽類を見たのは、山の麓で舞うトンビくらいだ。映画に登場しない動物では、近所で飼われているヤギを見たことがある。 ウサギを屋外で見たのは、近くの荒川河川敷を散歩したとき、歩いているのを見たことがある。そのウサギは周囲にまるで無警戒な様子だったので、飼いウサギが逃げたか捨てられたのだろう。その後は河川敷を散歩するたびに、そのウサギに再会できないかと考えてしまう。 もう1回は、大阪府の山中でノウサギを見たことがある。ノウサギが動きを止めると、周囲の風景に完全に溶け込んで見えなくなることを実感した。河川敷にいたウサギと、山で見たノウサギは姿が似ても全く別の動物なのだろう。本作のスノーボールの印象が強烈だったので、つい屋外でウサギを見た思い出を書いてしまった。

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