ここから本文です

カノン (2016)

監督
雑賀俊朗
  • みたいムービー 46
  • みたログ 285

4.03 / 評価:256件

音楽の力

  • cyborg_she_loves_me さん
  • 2018年7月7日 16時10分
  • 閲覧数 1321
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

 私これまで、パッヘルベルのカノンって、クラシックの無数の名曲の中でも一番「凡曲」だとしか思わなかったんです。で、この映画、タイトル見ただけで、ラストシーンはこの曲が流れて終わることは、もうわかりきってますよね。だから、最後に3人が弾き始めても、人気曲で感動させて終わるという「みえみえ」の作りの月並みさに、むしろ少々げんなりした気持ちでした。

 ところが。

 聴いてるうちに、涙ボロボロ出てきて止まんなくなっちゃった。
 私クラシック音楽大好き人間で、この曲もこれまで何百回聴いたかしれませんけど、聴いてて泣いたことなんて、ただの一度もありません。自分の反応に、自分でもちょっとびっくりした。

 それは物語に感動したからだ……というんでもないんです。
 この物語の重さは、見ながら息苦しくなるぐらい、よくわかります。ただ、2時間の映画という、あまりに小さい入れ物にたたみこんじゃった結果、これだけ見たら、なんだかあらゆる話がポンポンと都合のいい結末にすぐにまとまりすぎて、不満でした。

 藍(比嘉愛未さん)の結婚相手の聡(桐山漣さん)も、その母親(古村比呂さん)も、とてもつらい過去を背負っている人だということなんですが、それがなにせほんの10秒20秒ぐらいの身の上話の言葉で示されるだけなので、全然リアリティがない。当然、この結婚を本当によかったと思う気持ちも、見ているこっちに湧いてこない。
 紫(ミムラさん)の受けるモラルハラスメントにしても、いきさつの説明が何もなしに、いきなり始まり (じゃあなんで結婚したんだよ)、逃げ出して即解決する (やけにタイミングよく助けに来てくれたな)、みたいな、いかにもご都合主義の描き方。
 この映画に含まれる内容を全部ちゃんと描こうと思ったら、最低でも6話完結ぐらいのドラマの枠が必要だな、と思いながら見てました。

 それから、主人公の3人の小学生時代から30歳前後までという、非常に長い時間軸のあちこちで起こったことを、しょっちゅう時間を行き来しながら描く手法も、見ていてちょっとわかりにくいです。
 3人娘さんは役者さん自体が変わりますから年齢差は一目瞭然ですが、鈴木保奈美さんや多岐川裕美さんは同一人物がメイクのちがいだけでこの年齢差を演じ分けるんだけど、本当の年齢差はないわけですから、やっぱり即座にわかるとはいきにくいですね。

 というわけで、長々と書きましたが、要するに何が言いたいかといいますと、物語部分に非常に感動したというわけではなかった、むしろあちこちに不満を感じながら見てた、ということです。
 それで迎えたラストシーンなんで、こちらに感動する準備が整っていたわけでは全然ないんですよ。むしろ、少しげんなりしながらこの演奏シーンを見始めたわけです。
 それが、なぜかわかんないんだけど……涙が止まらなくなっちゃった。

 音楽って、すごい力を持っているんだな、と思いました。それまでこの曲があまり好きじゃなかったとか、この映画の作りのここが気に入らないとか、そんな細かいことは全部けしとんで、「子供たちからお母さんへ」の想いって、こういうことなんだな、というのが、「じか」にこっちの心に響いてくるような気がしました。

 というわけで、星4つは、映画にというより、この音楽につけた点ですかね。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ