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シン・ゴジラ (2016)

SHIN GODZILLA

監督
庵野秀明
樋口真嗣
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3.88 / 評価:28,771件

解説

『エヴァンゲリオン』シリーズなどの庵野秀明と『進撃の巨人』シリーズなどの樋口真嗣が総監督と監督を務め、日本発のゴジラとしては初めてフルCGで作られた特撮。現代日本に出現したゴジラが、戦車などからの攻撃をものともせずに暴れる姿を活写する。内閣官房副長官役の長谷川博己、内閣総理大臣補佐官役の竹野内豊、アメリカの大統領特使役の石原さとみほか300名を超えるキャストが豪華集結。不気味に赤く発光するゴジラのビジュアルや、自衛隊の全面協力を得て撮影された迫力あるバトルに期待。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

東京湾アクアトンネルが崩落する事故が発生。首相官邸での緊急会議で内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)が、海中に潜む謎の生物が事故を起こした可能性を指摘する。その後、海上に巨大不明生物が出現。さらには鎌倉に上陸し、街を破壊しながら突進していく。政府の緊急対策本部は自衛隊に対し防衛出動命令を下し、“ゴジラ”と名付けられた巨大不明生物に立ち向かうが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2016 TOHO CO.,LTD.
(C)2016 TOHO CO.,LTD.

「シン・ゴジラ」日本ゴジラは庵野秀明成分・高純度でハリウッド版を攻め打つ!!

 おととし公開されたギャレス・エドワーズ監督の「GODZILLA ゴジラ」(14)は、旧米版の似ても似つかぬゴジラ像の払拭に成功しただけではない。初代「ゴジラ」(54)が持つ「核の恐怖」という主題を継受し、加えて「VS怪獣もの」という性質をも包括する力作だった。

 そんなギャレス版と同じ轍は踏めない今回の「シン・ゴジラ」は、過去作との関連を絶ち「ゴジラとは何か」を再定義することで、新たな脅威の存在として人類と対峙させている。現代日本に未知の巨大生物が上陸したさいの有事シミュレーションを徹底させ、感傷的なドラマを枝葉のごとく剪除し、未曾有の試練に対してひたすら回答を出していく。この硬質さが、リアル怪獣映画を掲げた「平成ガメラ三部作」とは一味違う、ポスト怪獣パニックとして観客の視覚をつらぬくのだ。テロの時代を通じて米娯楽映画の質感が変わったように、本作もまた3・11以降の日本に目を寄せ、ゴジラに担わせてきた象徴性を変質させている。

 これらに加え、庵野秀明という作家の成分が高純度を成し、さらには樋口真嗣らによる、幾多の特撮巨篇を経て磨き上げてきた視覚効果が合わさることで、構造的にも映像的にも、固有のアートスタイルが前面に出たゴジラ映画になっている。

 さらに彼らの世代論を持ち出して本作を解くのならば、そこには多感期に第2期ウルトラシリーズの影響を受けたであろう、庵野の怪獣観が熱く注がれているのを実感できる。特に現代社会の歪みが怪獣を呼び醒ます「帰ってきたウルトラマン」(71~72)の気配は強い。巨大生物をめぐり、防衛組織が武力行使か人命尊重かの決断を迫られる展開や、怪獣を国家転覆の手札とする陰謀者の思惑が見え隠れするところなど、「帰マン(新マン)」テイストの掘り下げがピリッと舌を刺す。

 なによりも「シン・ゴジラ」には、ゴジラ出現の途方もない事態をディスカッションで攻め打つ「組織もの」としての趣がある。こうした様相が、かつて同じ東宝で戦争・群像劇を手がけた岡本喜八監督の演出や、橋本忍的な脚本イズムの薫香を放つのだ。

 本作は長大なゴジラ映画史において図抜けた作家性を放つが、それは庵野が自作「トップをねらえ!」や「新世紀エヴァンゲリオン」の方法論をゴジラに全投入した成果ともいえるし、そこに落ち着くことへの賛否はあるだろう。

 だがそれでも「シン・ゴジラ」は、日本という土壌に根を下ろし、国内のアニメ特撮文化や社会事象を見据えていなければ、容易には得難い感性の集積である。この極致、ハリウッドの資本力をもってしても踏み込めまい。ギャレス版に目にもの見せてやったぜ!(尾崎一男)

映画.com(外部リンク)

2016年7月28日 更新

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