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ダウト・ゲーム (2014)

REASONABLE DOUBT

監督
ピーター・ハウイット
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  • みたログ 173

3.05 / 評価:97件

犯罪を犯しても人間は更生できる

  • raz***** さん
  • 2020年4月12日 15時41分
  • 閲覧数 147
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

序盤は面白かったけど正直なところ中盤の中だるみは退屈でした。

主人公が検察側の人間なのに、保身で頭がいっぱいな状態の期間が長すぎたと思います。それによって主人公への興味が薄らいじゃいました。最初は保身で悪に手を染めても、すぐに改心して正義に目覚めて欲しいと思っちゃいます。

それにストーリーとしては、主人公が正義に目覚めたというよりも、敵役デイヴィスに脅迫されたから、なし崩し的に正義側に矯正させられたように見えてしまったのもマイナスポイントでした。主人公が罪を悔いているように感じないのです。



ですが、この映画のテーマはそれなりに道徳的です。レビュータイトルのとおり「犯罪者であっても更生できる」というのがテーマだったように思います。

主人公は、元受刑者で義理の兄のジミーを邪魔者扱いしていました。主人公の立場からすると、自分のこれからのキャリアを台無しにするかもしれない存在だったからです。でも最終的にはそんなジミーを家族として迎えました。

そして主人公自身もひき逃げという罪を犯し最初は保身に走りましたが(たぶん)最終的には更生しました。

逆に敵側のデイヴィスは「犯罪者が更生できるわけがない」と心を閉ざしてしまったことで、仮出所者狩りをしてしまったわけですね。

なので、この映画は「更生」がテーマとなっていると思われます。



でも、なぜ原題は「Reasonable Doubt(合理的な疑い)」なのでしょうか?

映画の中でデイヴィスはこの合理的な疑いによって無罪になり、主人公もまた無罪にしてやるよと持ち掛けられました。デイヴィスからすると、ちょっと細工すれば合理的な疑いなんて簡単に作れると主張しているように僕は感じます。

デイヴィスのような家族を殺された犯罪被害者からすると、犯罪を立証するうえでのちょっとした矛盾なんて簡単に作れるんだから、合理的な疑いなんて気にせずに犯罪者を処罰しろよという気持ちになるのも致し方ないように思います。

ただ、そうであればデイヴィスが狩るべきは仮出所者じゃなくて、犯人だと強く疑われたのに些細なことで無罪放免になった極悪人たち(つまりデイヴィス自身!)であるべきです。そこに論理のズレがあります。ありますが、それこそがデイヴィスの心が壊れてしまった証左だと考えることもできないことはありません(ちょっと無理があるかもだけどw)。



合理的疑いと更生に共通するのは、いわゆる性善説だと思います。犯罪被害者側に立つと、いわゆる性悪説側に心が引き寄せられますが、司法制度は性善説に立脚していて、そこに対立があります。

この映画ではその対立の構図の「答え」を「おまえが家族を守れなかったのが悪い」という別の角度からの論理で締めくくっています。終盤のシーンで主人公がデイヴィスに言い放ちました。性悪説で悪者探しをしたいのなら、被害者ぶらずにまず初めに家族を守れなかった自分の落ち度を悔いろと言いたげです。共感できるようで僕にはできない考え方でした。



ここで、もう一度、「正義」について考えてみます。
この映画は検察側の人間が主人公なのに「これが正義だ」といったステレオタイプな物言いをしていません。主人公が明確に正義について考えるシーンがないのです。それはたぶん、そんなものは幻想にすぎないという欧米的価値観に起因しているのかなって感じます。

社会的な「正義」よりも、近親者である「家族」の方が大事だという文化です。
大事なのは家族であって社会ではないわけです。社会の秩序を維持する体制側の人間が、それよりもやっぱり家族の方が大事だという気持ちで心が満たされる状態になることが美徳だと感じる文化です。僕からすると、でもやっぱ社会の維持も大事だよなぁと思っちゃいます。

(ところが、9.11とかのように国家存亡の危機が訪れると、一気に全体主義へと舵を切るのが早いのもまた欧米の特徴なのかな。切り替えが早いよね。)



なんにせよ、更生するというのは正義に目覚めることじゃないよとこの映画は言っています。更生するというのは家族を大事にすることなわけです。正義のために生きるというのは自由が束縛された状態なのかもしれません。あれをしちゃダメこれをしちゃダメでは自由がありません。それよりも、自分にとって大切なものを1つ見つけろという方が生き方としては正しいという主張なのでしょうね。その主張は僕もすこしは共感できます。



この映画がそれほど面白く感じなかったのは、単純に価値観の違いのせいなのか、映画の作りが悪かったのか、その両方なのかわかりませんが、映画のストーリーから思想を読み取れるように作ってあるところは素晴らしいなと思いました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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