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ボーダーライン (2015)

SICARIO

監督
ドゥニ・ヴィルヌーヴ
  • みたいムービー 838
  • みたログ 4,006

3.79 / 評価:2963件

☆最初から最後まで凹みまくり☆

アリゾナ州の田舎町、チャンドラー、
FBIチームが誘拐事件の容疑者宅へ、
奇襲する冒頭のシーンから、
子供のサッカーの試合中に、
遠くでマシンガンの発砲音があっても、
何もなかったかの様にゲームが再開される、
メキシコのある街のシーンのエンディング迄、
見事に凹ませてくれる映画でした。

同じ空の下、呼吸をしている、繋がった世界に居ながら、
世界の片隅で、正義・モラルなき社会が存在すること。
その世界では、どんなモラルや倫理観は通用しない。
悪を倒す為なら、正義や倫理は存在しない。
そういう世界があるというのは、実際のニュースで知っていたが、
この映画を観ると、
如何に、私達が傍観者であることを、突きつけられる。

ここで描く世界は、戦争そのもの。
それ以上でも、それ以下でもない、
中東で起こっている戦争やテロと同じ戦争が起きているのだと。

エミリー・プラント演じる、FBI捜査官ケイトは、
純粋に、麻薬カルテルのボスを逮捕したいが為に、
この不条理で、腐敗しきった世界に飛び込み、もがき苦しむ。
その世界で、モラルを声高々に言っても、無意味であること。
クライマックスで、ベニチオ・デル・トロ演じる、アレハンドロとの、
ガチンコ対決を通じ、この不条理な世界を認めざるを得なくなる。

更に追い打ちをかけるのは、
アメリカは、純粋なる正義を求めていないこと。
かつての現実に戻し、アメリカの支配下で維持していく為には、
倫理観、正義感は存在しないということ。
それでも、アレハンドロの行動を駆り立てる源を知った時、
更に、不条理さを増大させる。

幸いなのは、アレハンドロが、ケイトにかける最後の言葉は、
不条理な世界で生きている人の、精一杯の良心であると映る。

今作は、文句なしの☆満点。
ここまで、不条理、モラルなき世界を、
映画として、見事に見せたことは凄いと思います。
昔、『シティ・オブ・ゴッド』という、
同じ嗅覚がする映画を、思い出しましたが、
今作は、これ以上に、インパクトがあり、緊張感があり、
観る側に、何かとてつもないインパクトを
残す映画であると思います。

この映画の監督である、ドヴニ・ヴィルヌーヴだからこそ、
この不条理で緊迫した世界を描く事ができたのかもしれない。
臨場感ある銃撃シーン(特に地下トンネルでの襲撃シーン)、
上空から見下ろす、メキシコの街を通じ、
上空から見る穏やかな印象と、
地上での修羅場とのギャップが、
不条理さと虚しさを強くさせます。

人によっては、トラウマになりかねない映画かもしれません。
確かに、R-15指定は伊達ではありません。

最後に、アメリカ次期大統領のトランプ氏曰く、
メキシコとの国境に壁をつくり、不法移民を排除すると、
大風呂敷を敷いている様ですが、
この映画を観ると、壁の無意味さ感じ、
トランプ氏の言動が、虚しく感じるのは私だけでしょうか・・・。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • パニック
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