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映画 「聲の形」
2016年9月17日公開

映画 「聲の形」

The shape of voice/A SILENT VOICE

1292016年9月17日公開

sak********

5.0

ネタバレゆずるの役目がとても重要だと思う

結絃が傘を押し上げて将也の顔を覗き込むシーンがとても好きです。 将也は、殻に閉じこもり、誰にも踏み込まれないように生きていて、 そのために、誰も彼を救うことはできなかったはず。 でも、ここで結絃は彼の殻の中にちゃんと踏み込んだのだと思う。 結絃が泣いているのを見かけた将也は、結絃に「関係ないだろ」と言われて、 「関係あると思いたい」と言っていたけど、それは、他人と関係を 自ら望むまで前向きになっていたということだと思う。 他人に対してぎこちなく、永束くんにさえ壁を崩せずにいる将也は しかし、結絃に対してだけは懐に入れているように自然だ。 きっと、結絃は最初に将也に踏み込み、彼をちゃんと救った一人なのだ。 姉のことを救いたいと、ひたすら願った彼女は、 願いとは少しずれたけど、将也を救うことができた。 そして彼が硝子を救うことになる。 病院で目覚め、橋の上での硝子と再会した将也が、 「自分も自殺を考えていたけど、死に値することじゃないと思った」 と言っていたのは、彼はすでに「ちゃんと生きること」を始めていた、 ということだと思う。 そして、硝子に対して「生きることを手伝ってほしい」と伝える。 それは「ちゃんと生きること」がどれだけ難しいことかを 知っている彼女にだからお願いできることだ。 そしてその「彼女だけが助けられる」という事実が、彼女を救うことになる。 この物語は、運命の下降をたどって、最後のぎりぎりで 最悪の方向から盛り返し、良い流れに変わっていったのだけれど、 その最後のぎりぎりで盛り返すターニングポイントは、 将也が硝子の手を捕まえて落下から救ったあのシーンではなく、 もっと前の、結絃が傘を押し上げたシーンだったのではないか、 と私は思う。

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