観る価値のある3時間
- みつのり さん
- 2016年3月28日 0時13分
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- 総合評価
長い映画は苦手だし、説明不足は好きではない。
そういう意味では、僕の好みとは正反対のはずなのだが、
なぜかそれが気にならない、岩井俊二のマジック。
「長さを感じさせない」のではなく、「長いけど、あまり苦にならない」。
あちこちで紹介されている「あらすじ」は、
実は中盤以降の展開までバラしてしまっているので、
観るつもりがあれば接触しない方がいいかと(その方が楽しい)。
予告編は観ても大丈夫。
前半は奥田英朗の人生転落系小説のような感じ。
後半になると、痛々しくてピュアな心と秘密が徐々にあらわになっていく。
なぜ彼女だったのか、いつからそう決まっていたのか、
なぜ最後にあの人物の涙腺は決壊したのかなど、
説明されないことは多々あるが、それが不満よりも余韻を感じさせる。
なんといっても3時間の長尺をもたせているのは、
黒木華という女優の「いくら観ても見飽きない」という不思議な魅力だ。
これまで「名脇役」のイメージが強かったが、
本作は間違いなく、主演としての代表作になるだろう。
今年の主演女優賞を総ナメしそうな予感。
軽さと胡散臭さ全開の綾野剛、明るさと危うさが突き抜けているCoccoも、これしかないという素晴らしいキャスティング。
ネタバレ前提で、安室視点から描くスピンオフが観てみたい。
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