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リップヴァンウィンクルの花嫁
2016年3月26日公開

リップヴァンウィンクルの花嫁

1802016年3月26日公開

とみいじょん

4.0

迷子

予告がこの映画のテーマを語り切っている!  映画を鑑賞する前に、予告を見たときは???が頭の中を飛び交っていたけれど…。 「ここはどこですか?…私はどこに行けばいいんですか?」 「今後の日本について書きたいという衝動が沸き起こったんです」とこの映画について監督が語る(インタビュー記事から)。 まさしく、現代の、ある日本の情景。 後半の設定こそ奇抜だが、それぞれが抱える不安と孤独が描かれている。  SNSでの結婚紹介サービス。  ネットでつながる教師と生徒。   ある一定ライン以上は、踏み込まれない安心感。  何でも屋…お金で買えるサービス。   知り合いに頼むより、面倒くさくなくて、便利だもの。   「なんで相談しなかった!」と怒る割には、相談に乗る姿勢を見せない相方。でも、自分では気が付いていない自分勝手な男。…ワンオペママが抱えている苦悩。  不倫調査。別れさせ屋。実在するサービス。   喧嘩の仕方を知らない大人。    そりゃそうだ、子どものころ、大人に管理されて育ち、喧嘩なんてしたことがないもの。だから、雨降って地固まるなんてしらない。喧嘩したことないから仲直りの仕方を知らない。一度、関係が壊れると、究極の選択しかない。  迷子になっても、頼るのはグーグル。ネットの情報。   そんな希薄な関係の反面、  密着親子。絶縁親子。閉じた関係性。 「ここはどこですか?…私はどこに行けばいいんですか?」   自分が迷子になった時の心細さを思い出した。   頭が真っ白になったまま歩き続けたら、見知らぬところにいた。   道一本入っただけのはずなのに、元に戻れない。   誰もいない。表示もない。   人生にも道はない。中学・高校・大学・就職。反発しながらも、敷かれたレールを走ってきた。このまま行くはずなのに、人生には、ちょっとしたエアスポットが用意されている。思わぬ躓き。思わぬ方向転換。   頼るのは自分?ネット?見知らぬ他人?招待知れぬ親切な人?頼れる知人がどれほどいるのだろうか?   孤独と不安に耐え、自分で解決できるのは、自立した大人としては素晴らしいけれど…。 そんな中で出会った真白。…。 初めて、”自分”を必要としてくれる存在…。それぞれの思惑…。 そして…。 初見はネタバレしないで見ていただきたいけれど、 結末を知って再見すると、微妙なセリフ・役者の表情他に、涙が出そうになる。 シーンは、どっきりカメラや、胡散臭いやらせの中に、七海が、設定も知らされずにオンエアされているような、ドキュメンタリーっぽく、展開する。 「ありえねー!」と叫びたく様なシーンの連続。 なのに、ふざけたバラエティのように見る気をなくすんではなく、なぜか見入ってしまう、魔訶不思議さ。  (ただ、監督や出演者のファンじゃないと、飽きるシーンもある) 実態があるようで、ないようで、あるようで。 そんな中で、われらは生きていると思い出させてくれる。 だから、手ごたえが欲しくなって、「やりがい」とか「自分探し」とか「ありのままで」「自分らしさ」とかが流行るのかな。 生きている実感をつかみたくなって。 見たいものだけを見て。 信じたいものだけを信じて。 危うい関係。 でも、幸せを感じる瞬間。 信じる者は救われる。 世のなかのすべてを疑って生きるのとどちらが幸せなのだろう。 幸せって何なのか。 改めて考えさせられた。 【蛇足】 原日出子さん。  『怒り』では、綾野氏演じる直人が慕う母親を演じていらしたんだよな。  役者ってすごいと改めて思いました。

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