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マネー・ショート 華麗なる大逆転
2016年3月4日公開

マネー・ショート 華麗なる大逆転

THE BIG SHORT

1302016年3月4日公開

shoko

5.0

知的興味を刺激する最高に面白い金融劇

アカデミーの作品賞にノミネートされているのでみた映画ですが、これが本当に面白かった! サブプライムローン問題を発端とした2007年のアメリカの住宅バブル崩壊から国際的な世界金融危機にいたる過程について描いたコメディタッチのドラマなんて、私には少し難しそうで、さらにこのテーマでコメディって何?って、見る前は少し不安もあったんですが、この映画の洗練された面白さには細かい金融のシステムがわかるわからないにかかわらず、とにかくひきつけられました。 コメディといってもどたばたのスラップスティックコメディではないんです。 オフィスドラマのような形で物語が進んでいるなかで、時には出演者がカメラにむかってコメントしたり、有名な女優やシェフがカメオ出演して、経済用語の解説をしてみたり、その時代を象徴するようなイメージがところどころに挿入されたり、本当に面白いつくりの映画。 とっても勉強にもなるので、鑑賞後に、劇場中で人々が席についたまま、このサブプライムローン問題などについて、大きな声で語りあったり、ディスカッションをする珍しい光景があちこちでみられて、どれだけこの映画の内容が興味をひくものだったかわかります。 オーストラリアで鑑賞したのですが、その後日本の予告編をみてみたら、なんだかまるでタランティーノ映画の予告みたいな、ポップな宣伝になってて、ウォール街をだしぬけ、華麗なる大逆転、なんていって、四人のトレイダーたちがまるで無法者のカウボーイのように、一緒に協力して、世界金融危機の裏をかいた痛快なお話、みたいな印象があるんですが、ぜんぜん違います。 この四人はメインキャラクターではあるけれど、それぞれ別々に、別の立場で住宅バブルの崩壊を予想して動いたわけで(トレーダーのスティーブ・カレルと銀行マンのライアン・ゴスリングは関連があるけれど)、各グループの状況が個性的で緊迫感があって、最後に私たちみんながそれがおこることを知っているリーマンショックの大団円をむかえるまでの悲喜劇が、まるでドキュメンタリーをみているようなリアリティがあって、知的な衝撃を感じます。 そしてこの金融劇の立役者はもちろん四人だけではなくて、出演者する俳優さんたちみんながハイクオリティで、秀逸な群像劇をみているよう。なかでもクリスチャン・ベールとスティーブ・カレルは素晴らしい。クリスチャン・ベールの演技力の高さはみんなの知るところですが、「フォックスキャッチャー」で軽いコメディだけではなく、シリアスな演技ができることを証明したスティーブ・カレルは、今作でも突出していました。 もう一度みたい気分になる映画。五つ星です。

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