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マネー・ショート 華麗なる大逆転 (2015)

THE BIG SHORT

監督
アダム・マッケイ
  • みたいムービー 783
  • みたログ 3,700

3.29 / 評価:2759件

暴露された、世紀の「詐欺」

  • dr.hawk さん
  • 2016年3月15日 0時10分
  • 閲覧数 957
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

2D字幕 2016.03.14


リーマンショックの引き金になったサブプライムローン問題と、その破綻をいち早く見つけたトレーダーたちがCDSを買って儲けた実話を基にしたドキュメンタリー風のヒューマンドラマ
原作はマイケル・ルイス『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』

この映画を観るにあたって注意点がふたつ

ひとつめは登場人物について簡単に知っておくこと
もうひとつは金融用語について理解しておくことだ

これらは公式のホームページでも解説されている

まあ、あんまり勉強していない人でもわかるようには作られています(ところどころ妙な解説が入ります)

この問題の発端は遡るとキリがないので、マイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)が「サブプライム危なくね?」と思ったところから始まります
数字を冷静に見て、数年後にこの証券商品が破綻する可能性を見出した
ザックリ言うと、証券の評価に比べて資産価値がないこと、それに危険な証券が混じっていることに気づく
この債券をMBS(住宅ローンを証券化したもの)と言い、危険なものとはそのものズバリ、サブプライムローンのことである

サブプライムとは、プライム(優良)の下という意味
これまたザックリ言うと、非優良顧客向けのローン=低所得者向けの住宅を担保にした高金利のローンである
そして、このサブプライムローンは「住宅価値が上がり続ける」ことが前提で作られていて、これができた当時は「借りやすさ」というまやかしの仮面を被ったまま売れに売れ、住宅ローンに金が流れ込んで、住宅の価値をさらに上げていったのだ
そして、初期の数年間の支払いを一定額に抑えるという商品特性もあり、「はじめは支払いに滞ることもない」「借りやすい」ローンだった
サブプライムは支払いを先延ばしにする(原金も利子も先延ばし猶予期間があると言ったほうがいいかな)特性を持っていたので、住宅の価値や所得が上がれば問題ないが、どちらかが暗礁に乗り上げると一気に転げ落ちる


その危険なサブプライムローンを紛れ込ませたMBSの、将来受け取る予定の元利金等を元に証券化によって作られたCDO(債務担保証券)を銀行がつくり、証券会社に売りまくった
格付けもAAA(安全度みたいなもの)がつき(実際には顧客獲得のために内容に関わらずと暴露される)、売れに売れた


今回の映画で取引されるのは、このCDOに対する保険的な意味合い(損失が出たら見合う金額を銀行が支払う)をもつCDSという取引の「権利」である
これはCDOのランクAAAの価値や将来性を疑う行為になるので、そんなことが起こるはずがないと思う銀行は喜んで売る

マイケル・バーリが作った商品を知ったジャレッド・ベネット(ライアン・ゴズリング)は、ヘッジファンドマネージャーのマーク・バウム(スティーヴ・カレル)にCDSを売ることを進める
マークは正義感の強い男で、不正を許さない
この取引の正当性を調べていく中で、MBSやCDOがいかに胡散臭いかを知り、「天罰を下す」ことを決意する

また、この取引の存在を知った若手トレーダーのふたりはより大きな取引をする為に、隠居していたベン・リカート(ブラッド・ピット)を担ぎ出す


物語はこの3組がCDSを買って破綻を待つが、住宅価格の下落が起こっても格付けが変わらないことに疑念を持ち、証券が正しい評価をされずに操作されていることに気づく


主演がクリスチャン・ベール(マイケル)なのに、主人公がマークだと感じた
それは、マイケルが終始自分の作ったCDSの運用益に振り回されていたのとは対称的に、マークは自分の足でサブプライムローンの危険性を探し出し、CDSを手放すタイミングを躊躇していたからだ
「売れば俺もあいつらと同じだ」
その葛藤が、この映画のドラマの核であり、破綻に賭けた男たちも「勝利」したわけではないことを物語っている


ブラット・ピット扮するベンも若者ふたりを窘める
この賭けの成功は何百万もの生活と家を奪う、と
逆に言えば、大きな視野で物事を見ていた人は、このカラクリに気づき、機会を得た
当初は儲かると思ったが、その賭けの顛末の意味を直視したときに、大きな葛藤が生まれた
マークは「天罰を下せ」という部下の言葉に決断する
この行為の正当性を誰かにわかってほしかったのだろう


私はこの映画を観て、サブプライムローンのことを少し調べた
より興味が沸いたし、今もなお、名前を変えて同じ悲劇の幕開けが起こっている
知らずに「窓の外の世界」と突き放すのは簡単だ
だが、あれが海の向こうの「関係ない出来事」だろうか
起こってしまったことはどうすることもできないが、未来に備えることはできる

それを考えるうえでも意義のある映画だと思うし、世の中「誰かの幸せは、誰かの不幸が支えている」という現実を無視するべきではない

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
  • 恐怖
  • 絶望的
  • 切ない
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