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君の名は。 (2016)

YOUR NAME.

監督
新海誠
  • みたいムービー 6,294
  • みたログ 6.8万

4.12 / 評価:60,124件

なぜ,この作品はこれほど心を揺さぶるのか

  • fuk***** さん
  • 2016年12月23日 3時22分
  • 閲覧数 7395
  • 役立ち度 909
    • 総合評価
    • ★★★★★

この作品、異なる劇場、異なるスクリーンで何度も観ました。
その度に、新たに気づくことがあります。

「この作品に出会えて、良かった」と、そう思います。
実際、本作は、興行収入も、歴代上位ランクに達しつつあるわけですが、なぜ、この作品はこれほどまでに心を揺さぶるのでしょうか。

この理由について、このレビューでは、この映画が「過去と現在と未来を体験する映画」であるからだという立場に立ち、「ストーリー」「テンポ」「背景・音楽」の三つの角度から分析してみようと思います。

(1)ストーリー
ストーリー展開は、正直オーソドックスだと思いますし、人によっては都合がよすぎると思う方もいらっしゃるでしょう。

この作品は、組紐の構造や川の流れ、飲食物を摂取することを例に、私と私以外の存在との関係性自体に価値を置く、「結び」という概念をキーワードとしています。
そして、「結び」を大切にすることによって、我々が日常を生きる世界とのつながりに価値を見出すことができるわけです。

そのため、この映画は主人公二人(瀧・三葉)を中心とした話ですが、決して二人だけに閉じた話ではありません。
二人が入れ替わり、お互いを大切に思うのと同じくらい、二人は家族・仲間・地域の人のことも大切に思います。

こうした描写からは、多くの人が胸の内に秘めているであろう、郷愁や希望といった感情が伝わってきます。あるいは、過去にそういう思いを抱いた方、あるいは現在抱いている方はこの作品に非常に共感するのではないでしょうか。

例えば、祖父母への感情。故郷への郷愁。手を伸ばしても届かない過去への苦い想い。
現在も感じる仲間との感情。日常生活の愛おしさ。日常の綺麗な光景を、きちんと美しいと感じる気持ち。つらい過去を背負い、ひたむきに走り抜ける現在への想い。
将来に待ち受けている(といいな)パートナーとの感情。自分が大切にしたい想い。手を伸ばして動かせるかもしれない未来への想い。

「手を伸ばしても届かない過去への想い」について、この作品は「忘れる」ことを推しているとして消極的な評価を下している方がいるようですが、その評価は必ずしも正当だとは言えないと思います。
例えば、最後の「結」のシーン(場面分けについては後述)で、瀧は、夢の中の出来事は忘れていますが、周囲の日常の光景を大切にする姿勢は決して忘れていませんし、むしろ夢を経てその思いは強まっているように思います(就活の軸にもしているようですし)。

最後に近いシーンで、明かりがついた家のカットが何度も続きます。このカットはすごく暖かく感じられました。この光景を大切にしたいという気持ちが浮かんだのが印象的です。

(2)テンポの良さ
いくら脚本がよくっても、物語に入り込めないということもよくありますよね。
しかし、「君の名は。」は、「気づかないうちに物語に入り込ませる」作品です。
その下地を作っているのが、物語のテンポです。

序盤を例にとると、序盤は二人の日常を描くわけですが、シーンのつながりが大変よく、ポンポンと進んでいきます。
シーンの末尾で次の場面の予告がされる要領で、無意識に次のシーンに意識が移り、話がスムーズに、自然に進んでいくかのように感じられます。
その予告は、台詞であったり、風景であったり、音楽であったり、多様です。
実際、オープニング自体が全ての予告でもあるのですが。

テンポの良さは、物語の巧みなシーン構成によっても成し遂げられています。
例えば、この話は以下のような「起承転結」で構成されているとみることができます。
起:冒頭~OPの唄が終わり、アラームが鳴り始めるまで
承:三葉がアラームにより目覚めて~デートの顛末を報告しようとする瀧のシーンまで
転:瀧の飛騨行~瀧が山頂で目覚めるまで
結:モノローグ~最後のシーンまで

それぞれのシーンの中で、話はうまく散りばめられています。
一つ一つのシーンの長さも緩急がつけられており、飽きることがありません。
こうした積み重ねの結果により、私たちは各シーンをリアルタイムの物事の動き(=まさに現在)として捉えながら鑑賞することとなります。

(3)背景・音楽の綺麗さ
自然と見間違えるような綺麗な背景と、各シーンに合った心躍るような音楽も、重要な役目を果たしています。
その二つが合わさり、我々は本作品を、まるで体感しているかのような気持ちを盛り上げてくれます。
特に、初めて東京の街並みに直面するシーンや、彗星のシーンは、本作品の美のハイライトと言えるでしょう。

本作は、いわば映画というアトラクションを体験できます。
その成果なのか、観賞後の感じが非常に素晴らしい作品です。

観客も、若者が多かった当初から次第に広がり、現在はご年配の方も笑って楽しんでいる、そんな作品です。
自信をもってお勧めします。観るならぜひ大きなスクリーンで!

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