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スポットライト 世紀のスクープ (2015)

SPOTLIGHT

監督
トム・マッカーシー
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3.91 / 評価:3,383件

解説

アメリカの新聞「The Boston Globe」の記者たちが、カトリック教会の醜聞を暴いた実話を基に描くスリリングな社会派ドラマ。カトリック系住民が多いボストンで、神父による児童への性的虐待事件を暴露した新聞記者らの困惑と共に、次々と明らかになる衝撃の真実を描き出す。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』などのマイケル・キートンが記者を好演。複雑に絡み合う事件の根の深さに慄然(りつぜん)とする。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

2002年、ウォルター(マイケル・キートン)やマイク(マーク・ラファロ)たちのチームは、「The Boston Globe」で連載コーナーを担当していた。ある日、彼らはこれまでうやむやにされてきた、神父による児童への性的虐待の真相について調査を開始する。カトリック教徒が多いボストンでは彼らの行為はタブーだったが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC
Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC

「スポットライト 世紀のスクープ」地味で結構、シブくて当然。巨悪に挑む記者たちのカッコよさがジワジワ沁みてくる

 俳優から映画監督に転身したトム・マッカーシーの第4作「スポットライト 世紀のスクープ」が今年のアカデミー賞で作品賞に輝いた。賞レースを追いかけていれば決して意外な結果ではなかったが、「レヴェナント 蘇えりし者」「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」などエクストリームな怪作たちがノミネートされている中で「よくわからないが地味そうな映画」という印象を抱いた人も多いだろう。

 カトリック教会の神父による集団児童虐待をボストンの地方新聞がすっぱ抜いた実話をもとにした「スポットライト」は、確かに胸を張って「地味です!」と答えられる映画である。

 スキャンダルの大きさは計り知れない。神父が教区の少年に性的虐待をしていたというとっかかりは氷山の一角に過ぎず、芋づる式に膨大な数の被害者と容疑者の存在が発覚し、教会が組織ぐるみで隠ぺいしていた可能性が浮上し、ボストンのローカル記事から世界中へと飛び火していったのだ。

 昨今では“スクープ”という言葉がほとんど芸能ゴシップを指すようになってしまっているが、本作の記者チームが狙う“スクープ”は、巨悪を暴き、世の中を激震させる一大タブーであり、危険すら伴う英雄的行為と言える。

 しかし、だ。記者の仕事は銃弾の雨をかいくぐったり、法廷で熱い演説をすることじゃない。関係者から情報を引き出し、被害者をひとりひとりに話を聞いて回り、疑惑を裏付けるために埃をかぶった膨大な資料を洗い直す。求められるのは、何度もくじけそうになりながら地道な努力を積み重ねるモチベーション。試されるのは仕事への矜持であり、正義を追及する信念であり、被害者の気持ちを代弁できる人間力でもある。

 はっきり言って何一つ派手じゃない。タイトルが「スポットライト」なのは、スポットライトを浴びることのない記者たちの日常をつぶさに描いていることに対する逆説でもある。

 トム・マッカーシー監督は見事なまでにスターの華やかさよりも実力が勝っている俳優ばかりを集め、過度にドラマチックにならないよう細心の注意を払う。胸のすくような「してやったり!」という高揚はこの映画には似合わない。ただ、地道な作業のすき間から、記者たちの心の内が、怒りや葛藤が、仲間同士の絆が、そしてスクープへの情熱が確かに伝わってくる。地味で結構、シブくて当然。だからこそジワジワとカッコよさが沁みてくる。やはり伊達に作品賞を獲ってはいないのだ。(村山章)

映画.com(外部リンク)

2016年4月14日 更新

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