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ディストラクション・ベイビーズ
2016年5月21日公開

ディストラクション・ベイビーズ

R15+1082016年5月21日公開

ねこやま

4.0

ネタバレ映像先行とテーマの後付け感。故に面白い。

格闘アクションではなく、日常の一コマを見せる喧嘩。  しかし映画的に魅せる喧嘩。 監督、演者、制作班の努力、拘りが、この暴力映像から、ひしひしと伝わる。  陰から覗き見てるようなカメラアングルとロングショットの長回し。  良い意味で無様な殴り合いに、思わず見入ってしまう。  その暴力描写に大人の事情ともいうべき正当性を持たせる為に、後付けでストーリー作りをした感じがある。  何しろ、少年漫画さながらの人物設定とありがちなテーマが陳腐に思えた。  しかしこの、小難しい事を一切排除した潔さが、功を奏している。  異様な存在で異彩を放つ、この映画の象徴である泰良。  人を殴り痛めつける事で血が湧き滾るのを味わい、人に殴られる痛みと流れる血と共に生を実感している。  抑えることが出来ない、抑えることもしない、強烈な初期衝動のように生のエネルギーを爆発させながら、より強く生を実感する為に、より強い相手を求め挑んで行く。  圧倒的な生命のエネルギーに溢れた暴力行脚は、荒涼とした空虚感や殺伐とした閉塞感に満ちた社会を破壊し、ストレスやフラストレーションを溜め込んだ人間達に鉄槌を下す。  そんな破壊の子の布教活動は、ルールが決められた格闘技などのスポーツではなく、ルール無用の街の暴力沙汰で無ければならないのだ。  やがて神輿のように担ぎ上げられ、祭りの渦は世間を巻き込み騒がしさを増して行く。  将太の心情を反映した静かな祭りの夜。 男衆が全身から荒ぶる熱気を放出する喧嘩神輿に、将太は何を見るのか。  若さを粗削りに尖らせた役者の演技と、生涯初期衝動向井秀徳の音楽の功績が大きい。 娯楽暴力映画として、純粋に面白い作品。 ちなみに、 柳楽優弥は【destruction】 菅田将暉は【distraction】

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