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トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 (2015)

TRUMBO

監督
ジェイ・ローチ
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4.09 / 評価:923件

解説

『ローマの休日』『ジョニーは戦場へ行った』などの名作を手掛けてきた脚本家ダルトン・トランボの半生を描く伝記映画。東西冷戦下のアメリカで起きた赤狩りにより映画界から追放されながらも偽名で執筆を続けたトランボを、テレビドラマ「ブレイキング・バッド」シリーズなどのブライアン・クランストンが演じる。共演は『運命の女』などのダイアン・レイン、『SOMEWHERE』などのエル・ファニング、オスカー女優ヘレン・ミレンら。監督を、『ミート・ザ・ペアレンツ』シリーズなどのジェイ・ローチが務める。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

『恋愛手帖』で第13回アカデミー賞脚色賞にノミネートされ、着実にキャリアを積んできたダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)。しかし、第2次世界大戦後の冷戦下に起きた赤狩りの標的となり、下院非米活動委員会への協力を拒否したことで投獄されてしまう。釈放後、彼は偽名で執筆を続け、『ローマの休日』をはじめ数々の傑作を世に送り出す。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2015 Trumbo Productions, LLC. ALL RIGHTS RESERVEDPhoto by Hilary Bronwyn
(C)2015 Trumbo Productions, LLC. ALL RIGHTS RESERVEDPhoto by Hilary Bronwyn

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」ヒロイズムや被害者意識からも解き放たれた〈赦し〉の感覚が充溢している

 劇作家のリリアン・ヘルマンが「ならず者の時代」と呼んだ1940年代後半から50年代に猛威を振るったハリウッドの〈赤狩り〉は、数多の才能ある映画人を破滅の淵へと追いやった。その代表が〈ハリウッド・テン〉の一人で投獄されたダルトン・トランボである。本作は反共のマスヒステリアが荒れ狂うハリウッドで、偽名でシナリオを量産し続けた不屈の脚本家の生涯を多彩なエピソードを交えながら浮き彫りにしている。

 不遜なまでの自信家トランボ(ブライアン・クランストン)の周辺には、猛烈なヒール役として反共プロパガンダの急先鋒であるジョン・ウェイン、ゴシップ・コラムニストのヘッダ・ホッパー(ヘレン・ミレンが怪演!)が配され、転向を余儀なくされるエドワード・G・ロビンソン、さらに後半では、アクの強い救世主としてカーク・ダグラス、オットー・プレミンジャーらが次々に実名で登場するのが壮観だ。実録としてのリアルさを補強するのは、おびただしい当時のニューズリールである。たとえば、当時の非米活動委員会でのハンフリー・ボガートやローレン・バコールのこわばった表情が時代の空気をあざやかに伝える。あるいは、名誉復権の烽火となった「ローマの休日」と「黒い牡牛」のオスカー受賞の瞬間のニュース映像と、TVでその模様を満足げに家族で見入るトランボが接合されるシーンは、実録ドラマの模範的な語り口が示されている。

 〈赤狩り〉はアメリカ映画史に、決して消え去ることのない深い傷痕を刻み付けたが、「トランボ」は、ラストのスピーチが体現するように、硬直したヒロイズムや安易な被害者意識からも解き放たれた〈赦し〉の感覚が充溢している。それは、とりもなおさず、ハリウッドが自らの歴史を成熟した眼差しでとらえ返せる段階に達したことを明かしてもいるようだ。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2016年7月21日 更新

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