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ルーム (2015)

ROOM

監督
レニー・アブラハムソン
  • みたいムービー 4,173
  • みたログ 6,943

3.94 / 評価:4,219件

見過ごしていた重要な視点でした

  • abem0620 さん
  • 2016年4月10日 17時39分
  • 閲覧数 10834
  • 役立ち度 78
    • 総合評価
    • ★★★★★

 ハリウッド映画にありがちな猟奇犯罪ものでも、監禁脱出ものでもなく、監禁性犯罪の被害者と事件によって生まれた子供に客観的に焦点をあて、どうしたら逃げ出せるか、解放された後に何が起きるのか、被害者のトラウマや生まれた子供の心のケアの必要性など、今まで考えたこともない類の事態を見せつけられた思いです。

 映画では事件をセンセーショナルに描くのではなく、被害者の女性と子供の心と体を時間の経過とともに丁寧に描いています。事件のさなかにあっても日常はあります。”ルーム”という小さな世界を丹念に拾っていきます。 
 しかも子供は女性の大切な分身であると同時に憎むべき加害者の子供でもあるわけですから事態は複雑です。
 映像はその子供の視線を活かしながら、彼の視点で母親を、加害者を、ルームをそして解放後に広がる世界を見ていきます。その視点がとても新鮮でした。ただ単に犯罪被害者の子供としての成長ではなく、単純に子供の成長や母親との関係、そして世界をどうやって認識してゆくのか、広がる世界を前にした子供の発達心理学も考えさせられます。それが(普遍的な)裏テーマとしてあるのでしょうね。
 映画のテーマとしては政治経済の問題や国際紛争や内戦などのセンセーショナルな話題ではありません。事件としては小さな事件ですが、被害者個人に与えるインパクトは重大なものがあります。これまで見過ごされてきたテーマでもあります。その視点や映画化は賞賛に値しますし、じっさい主演のブリー・ラーソンがアカデミー女優賞を受賞したことは喜ばしいことです。子供役のジェイコブ・トレンブリーも見事でした。

 ところで
 日本でも年に2,3件、こうした事件が報道される印象ですが、じっさいはもっとありそうで先日の朝霞で少女誘拐監禁事件は少女が逃げ出して助かったころや犯人の人物像から注目を集めましたね。
 しかしこの映画を観ると欧米ではもっと頻繁に誘拐監禁事件は起きている印象で、すでに日常的な事態になっているのかもしれません。
 10年ほど前、オーストラリアで娘を24年間にわたって地下室に監禁し7人の子を産ませていたとして73歳の男が逮捕された事件が話題になりました。センセーショナルな事態が注目されたのですね。監禁事件が明るみに出るのはまれですが、じっさいには水面下で同様の事件が数多くありそうです。
 少し調べてみると、産経新聞の2年前の調査では18歳未満の所在不明の子供が少なくとも29都道府県で計1603人いるそうです。さらにアメリカ司法省の統計では、行方不明者として報告される18歳未満の児童は年間79万7500人にのぼるそうです。すべてが監禁ではないようですが、まだ渦中にある人たちがどれほどいることか。

 単純に監禁事件としてワイドショーの話題になってしまう事件ですが、たぶん日本でもこれからさらに増えてゆく類の事件で、生まれる子どもの問題や家族関係など新しい社会問題として事態が肥大化してゆく気がします。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 勇敢
  • 知的
  • 切ない
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