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COP CAR/コップ・カー (2015)

COP CAR

監督
ジョン・ワッツ
  • みたいムービー 61
  • みたログ 699

3.03 / 評価:503件

美しくも残酷な、闇夜を疾走する赤と青の光

  • GODOFGOD さん
  • 2017年1月7日 3時58分
  • 閲覧数 1393
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

COP CAR   (2015:アメリカ) 
監督:ジョン・ワッツ (兼 共同脚本) 
脚本:クリストファー・フォード 
出演:ヘイズ・ウェルフォード
   ジェームズ・フリードソン=ジャクソン
   ケビン・ベーコン 


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《物語》
荒野をひたすら歩き続ける二人組の家出少年たち。覚えたての下品な言葉を口にしながらあてもなく彷徨っていると、茂みの奥に停車している1台のパトカーを発見する。保安官の姿は周囲には見当たらず車は無人状態。面白半分で車に乗り込んだ少年二人は、そのままパトカーを盗んで走り去ってしまう。
一方、そのパトカーの搭乗者であるミッチ・クレッツァー保安官(ケビン・ベーコン)は、人里離れた荒野の原生林の中で不法殺人の死体遺棄を行っている最中であった。戻ってみるとパトカーが盗まれており汚職の事実が明るみになってしまう危機的状況に追い込まれるが、その後目撃者の通報からパトカーを盗んだ犯人が少年であることを知る。無線で少年に車を返すように警告をするクレッツァーだったが、少年たちはもう一つ大きな危険に直面してしまう。実は車のトランクの中には生きている血塗れの証人がいたのだった。


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《感想》
悪人はみんな死んでしまう健全な勧善懲悪作品。
アメリカン・インディペンデント・スピリッツの佳作と称したい一品。

実際、低予算なのは映像を見ても伝わるが、クレッツァー保安官が警察無線で親しく話すオペレーター・ミランダの声を演じているのはケビン・ベーコンが長年連れ添う実の奥さん(キーラ・セジウィック)である。『告発』(1994)でも端役で登場。
業界で言うところの“内トラ”(家族や撮影スタッフなど身内をエキストラとして配役)はたいして珍しくもないが、この夫婦はなかなかセンスがいい。カツカツの予算で苦心の跡や粗もあるが、とにかくユーモアがあって面白い映画だった。

ケビン・ベーコンは『ワイルドシングス』のような振り切った役ではなく意外にあっさりとした汚職警官。重要なテーマや物語視点はほとんど少年たちなので【子供が観ちゃいけない大人向けキッズムービー】という表現がぴったりくるような気がする。

冒頭から「チ〇コ、チ〇コ、おっ〇い、お〇ぱい、マ〇コ、マ〇コ・・・」とバカっぽいガキ二人がパトカーを盗むまではコメディテイストのB級映画かと思ったが、ラスト5分の収め方はとても素晴らしかった。
本作の内容の良さでジョン・ワッツは、超大作『スパイダーマン/ホームカミング』(2017)の監督の座を射止めたのだろう。

主人公の少年二人は、劇中後半にようやく名前が判明し、気が弱いハリソン(ヘイズ・ウェルフォード)と、気が強いフリをしている悪童トラヴィス(ジェームズ・フリードソン=ジャクソン)と性格分けもはっきりしている。
『危険な遊び』のように、悪の道に誘った少年と、導かれた無垢な少年は、最期の結末も生死が分かれる。

トランクにいた血塗れの男の“二枚舌”に騙され、車内後部座席(パトカー後部座席は容疑者護送用に外側からロックが掛かる仕様)に閉じ込められた少年二人。車を取り戻し事件を隠蔽したい汚職保安官と、復讐を待ち構える血塗れの悪党が相討ちになる様はまるでコーエン兄弟の作品のようだ。密告した肥満女の鮮やかな死にっぷりもタランティーノが好きそうな1シーン。
悪党を撃つ勇気もなかった強がりだけのトラヴィス。最後は閉じ込められた後部座席から自分たちを救う為に撃った跳弾が自らを傷つけ瀕死の状態に。トラヴィスを救うため、盗んだパトカーでハリソンは街明かりに向けて闇夜を疾走する。パトランプの赤と青の光が美しくも残酷。
そして【暗転】して幕を閉じる。→ すなわちトラヴィス少年の【死】を暗示している。
フィクションの登場人物なので、生きていようが死んでいようが観客に実害はないが、生死を分けた少年二人の倫理観の違いが観客へのメッセージであることは明白である。【罪と罰】

赤と青の意味が理解できなければ、当然ながら赤と青のシンボルカラーのスパイダーマンの意味もほとんど理解できないということになる。再リブート版スパイディは、赤と青の対決『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でデビューを行ったが、ジョン・ワッツ監督なら新『スパイダーマン』も上手くやってくれるだろうという確信が持てる作品であった。こういう賢い人材こそヒーロー作品を作る監督であって欲しいと常々思っていたので今回の人選には全く異論はない。
マーベル作品のファンならずとも、新進気鋭の監督のキャリアの一本として本作の観賞をオススメしたい。
上映時間1時間28分、サクッと観れます。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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