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神様メール (2015)

LE TOUT NOUVEAU TESTAMENT/THE BRAND NEW TESTAMENT

監督
ジャコ・ヴァン・ドルマル
  • みたいムービー 202
  • みたログ 940

3.40 / 評価:704件

わたしとあなたをつなぐもの

  • dr.hawk さん
  • 2018年11月9日 23時30分
  • 閲覧数 535
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

2018.11.9 字幕 Amazon Prime Video


2015年のベルギー&フランス&ルクセンブルク合作の映画
原題は『Le tout nouveau testament』直訳すると「これら全ては新約聖書」
人間に酷い仕打ちばかりする父(神様)に嫌気を指した娘が世界を変えようと地上に降り立つ物語
監督はジャコ・バン・ドンゴン
脚本はジャコ・バン・ドンゴン&ダニエル・マルケ


物語は主人公エア(ビリ・グロワール)の目線で紡がれる
彼女は幼い娘で、父は神様(ブノワ・ポールブルード)、母は女神(ヨランド・ダミアン)、兄はJ・C(キリストのこと、演:ダヴィッド・ミュルジア)の四人家族

ある日彼女は「入ってはいけない」と言われている「父の書斎」に入ってしまう
そこで目にしたのは「彼が創った人間に対し酷い仕打ちをしていた」ことだった

母に辛くあたり、自分にも暴力を振るう父に嫌気が指したエアは、兄の助言のもと「人間に余命を知らせ、新たに6人の使徒を探して新しい新約聖書を書かせる」為に地上に降り立つ


彼女が使徒として選んだのは、

余命宣告後も変わらぬ生活をすると決めた片腕の女性・オーレリー(ローラ・ファーリンデン)

かつて冒険家だったが余命宣告後はベンチに佇む男・ジャン=クロード(ディディエ・ドゥ・ネック)

初恋を忘れられない性的妄想者のマルク(セルジュ・ラヴィリエール)

保険屋からスナイパーに転身した死を愛する男・フランソワ(フランソワ・ダミアン)

夫との関係に破綻した老女・マルティーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)

母の変質的な過保護によって余命54日になった少年のウィリー(ロマン・ゲラン)

そして、エアが最初に地上で出会い行動をともにするのが、浮浪者のヴィクトール(マルコ・ロレンツィーニ)である


彼らはそれぞれ自分たちの人生を語り、エアはそれぞれの「音楽」で彼らを幸福へと導いていく

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルの歌劇リナルドのアリア「Lascia ch’io pianga(私を泣かせてください)」
ジャン=フィリップ・ラモー「Le rappel des oiseaux(鳥のさえずり)」
ヘンリー・パーセル「O Solitude(孤独)」
フランツ・シューベルト「Der Tod und das Mädchen(死と乙女)」
ユリウス・フチーク「Vjezd gladiátorů(剣士の入場)」
シャルル・トレネ「La met(ラ・メール)」


彼らの人生を悲劇にさせているのは、

「身体障害」
「退屈」
「性的トラウマ」
「死への執着」
「老いが生んだ破綻」
「支配と束縛」

で、彼らはその瞬間から人生を停止させている


この人生の停止が余命宣告によってリスタートされ、エアの音楽によってあるべき人生へと修正されるのである


そして彼らはそれぞれの幸せにたどり着いたのち、余命わずかなウィリーを導こうとする

彼らの行動は、

月曜日→家具を売るウィリー
火曜日→フランソワに人殺しをやめさせる
水曜日→夫を捨てるマルティーヌ
木曜日→初恋と愛し合うマルク
金曜日→ダンスをしながら時間の概念を変えるエアとウィリー
土曜日→北極にたどり着き女性と出会うジャン=クロード

となっていて、それぞれが人生を停止させた瞬間から解放され(自己抑圧)、本来求めていた欲求へと向かっていくのである

そして興味深いのは、それぞれが「自分だけで行なっていない」という点である


エアは音楽で彼らを導いてきたが、それは「人生の転機となるべき対象」との出逢いを結んでいる

そしてキリストの妹として存在するのだが、この妹という存在は聖書に登場するものの、名前すらわからない

それに「エア(空気)」と名付けたのは、天地創造による二日目の「空」が由来ではないだろうか

あくまでも個人的な見解でありますが


いずれにせよ、光や闇、太陽や海などは人間と接するものの、限定的(時間的制約)であったり、距離感があるものである

その中で空気だけはそう言ったものとは乖離した自由があり、空気があるからこそ「音楽」も誕生している

そう言った意味において、制約を受けない存在としてのエアは必然だったのではないだろうか


新たな聖書の解釈として面白いものを見せてもらったと言えるが、この作品は日本では受けないだろうなあとも思う

あと、聖書が解釈と伝達の産物であることを拒絶する人たちにとっても、であろうか

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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