ここから本文です

神様メール (2015)

LE TOUT NOUVEAU TESTAMENT/THE BRAND NEW TESTAMENT

監督
ジャコ・ヴァン・ドルマル
  • みたいムービー 202
  • みたログ 940

3.40 / 評価:704件

解説

カンヌ国際映画祭やゴールデン・グローブ賞など、世界各国の映画祭、映画賞で称賛を浴びたコメディー。パソコンを駆使して世界を翻弄(ほんろう)する神と、そんな彼に愛想を尽かした娘が巻き起こす騒動を描く。メガホンを取るのは『ミスター・ノーバディ』などのジャコ・ヴァン・ドルマル。『チャップリンからの贈りもの』などのブノワ・ポールヴールド、名女優のカトリーヌ・ドヌーヴ、『エール!』などのフランソワ・ダミアンらが結集。奇想天外なアイデアと設定、予想もつかないストーリー展開に圧倒される。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

ベルギーのブリュッセル。とあるアパートに家族と共に生活している神は、慈悲深いという人々が抱いているイメージとは真逆の嫌な人物であった。自分の部屋に置かれたパソコンを駆使して世界を管理しているが、いたずらに災害や事故を起こしては楽しんでいた。そんな父親に怒りを覚える10歳の娘エア(ピリ・グロワーヌ)は、家出を考える。立ち入りを禁じられている父親の部屋に忍び込んだ彼女は、全人類それぞれの死期を知らせるメールを送信して家を飛び出してしまうが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2015 - Terra Incognita Films/Climax ilms/Apres le deluge/Juliette Films Caviar/ORANGE STUDIO/VOO et Be tv/RTBF/Wallimage
(C)2015 - Terra Incognita Films/Climax ilms/Apres le deluge/Juliette Films Caviar/ORANGE STUDIO/VOO et Be tv/RTBF/Wallimage

「神様メール」シリアスなテーマもファンタジックに描く、幸せな驚きに溢れた作品

 想像をいい意味で裏切りつつ、期待をはるかに超えたものを見せてくれる。これはそんな幸せな驚きに溢れた作品だ。

 神様がブリュッセルのアパートに住み、パソコンで人々の運命を管理しているという設定からしてユーモアに溢れる物語は、期待以上にファンタジックで最高にキュート。だが、その神様の10歳の娘エアが高圧的な父親へ反発することから始まる混乱は、ただファンタジックでキュートなだけのはずがない。なにしろ、これまた父親とそりが合わずに家を出たらしい兄JC(イエス・キリスト)に勧められ、「新・新約聖書」(本作の原題)を記すために下界へやってきたエアが出会う6人の使徒たちのみならず、人々はエアが人間を運命から解放するために一斉送信したメールによって自分の余命を知ってしまっているのだから。

 自分に残された時間を知る。それは、自分が何をしたいのかを見つめること。年齢も境遇も違うさまざまな人々の、残された時間の長さもまた違うことが、観客に、自分だったらどうするだろうと考えさせずにいないのだ。余命数十年の安心から無謀な行動を繰り返す男や、自分が亡きあとの子供の身を案じる母親など、市井の人々のリアルな風景を織り込んでいく、ジャコ・ヴァン・ドルマル監督の視線もまた物語に深みを与えている。

 だが、そんなシリアスなテーマを使徒たちのせつなくも美しい恋とともにファンタジックに描くのが、ドルマル監督の真骨頂。神様のどうしようもない意地悪男ぶりにあきれさせつつ、彼が意地悪心から作った“日常的な不快の法則”のかずかずや、エアが見せてくれるいくつかの小さな奇跡、そして壮大なクライマックスまで、いくつもの神業に微苦笑したり爆笑したりするのもお楽しみ。悩める使徒の“心の音楽”を聴き分けて勇気づけるエアの愛くるしさはもちろん、カトリーヌ・ドヌーブ演じる有閑マダムとゴリラが恋に落ちるなんていう、一歩間違ったらキワモノになりかねない光景さえもすんなり受け入れさせるファンタジー力に、とにかくときめきっぱなしだ。自分の“心の音楽”は何なのか。きっと、エアに教えてもらいたくなるはず。(杉谷伸子)

映画.com(外部リンク)

2016年5月26日 更新

本文はここま>
でです このページの先頭へ