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日本で一番悪い奴ら (2016)

監督
白石和彌
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3.99 / 評価:4,358件

解説

『凶悪』などの白石和彌監督と『新宿スワン』などの綾野剛がタッグを組んだ、日本の警察における不祥事をモチーフにした作品。2002年に覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕され“黒い警部”と呼ばれた北海道警察の警部の、逮捕までの26年間が描かれる。脚本は『任侠ヘルパー』などの池上純哉、音楽を『八日目の蝉』などの安川午朗が担当。白石監督の演出と、劇中で体重を10キロ増減させ衝撃的な実話に挑んだ綾野の壮絶な演技に引き込まれる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

柔道で鍛えた力を買われて、北海道警察の刑事になった諸星要一(綾野剛)。裏社会に入り込んでS(スパイ)をつくれという、敏腕刑事・村井の助言に従い、Sを率いて「正義の味方、悪を絶つ」の信念のもと規格外の捜査に乗り出す。こうして危険な捜査を続けていった諸星だったが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会
(C)2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会

「日本で一番悪い奴ら」綾野剛は荒んだ心象風景の中でこそ精彩を放つ稀有な俳優である

 2002年に北海道で起こった“日本警察史上、最大の不祥事”と呼ばれた「稲葉事件」をモチーフにしたピカレスク・ロマンである。警察とやくざ社会の底知れぬ癒着を暴いた映画としては、深作欣二と笠原和夫の黄金コンビによる「県警対組織暴力」(75)がある。「凶悪」(13)で一躍、注目を浴びた白石和彌は、脚本の池上純哉ともども明らかにこの金字塔的な東映実録やくざ映画の傑作に対抗しようとする野心をみなぎらせている。

 巻頭、ちょっと「マルサの女」を思わせるアレンジの安川午朗のテーマ曲が流れた瞬間、この作品が史実をリアルに再現する実録ものというよりは、諷刺的なコメディ・タッチのエンターテインメントであることを予感させる。実際、当初、主人公の北海道警の刑事諸星要一(綾野剛)は直情的で、正義感に溢れんばかりのイノセントな青年として登場する。

 しかし、諸星はやがてSと呼ぶ裏社会のスパイを率いて、やらせ逮捕、おとり捜査、拳銃購入、覚せい剤密輸とあらゆる悪事に手を染め、得意満面の絶頂から転落に至る26年の軌跡がクロニクルとしてスピーディに活写される。メフィスト役の上司ピエール瀧、暴力団幹部の中村獅童など不敵な面構えの役者が色を添えるが、「県警対組織暴力」のような隅々にまで愛嬌たっぷりな異貌の脇役がうごめく祝祭感がやや足りないのは残念である。

 〈人間喜劇〉としての群像劇の弱さをたった一人でカバーするのが綾野剛の熱演だ。クラブのホステスを愛人に囲うが、愛情が覚めてしまったゆえにシャブ中毒となった彼女を、綾野剛が暗いマンションの一室で激しく詰問するシーンは、この映画の白眉だろう。諸星は傍若無人なワルへと変貌を遂げるも、終幕近く、網走で自らもシャブ中になって鬱屈する日々の描写がむしろ印象に残る。綾野剛は荒んだ心象風景の中でこそ精彩を放つ稀有な俳優であることにあらためて気づかされる。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2016年6月23日 更新

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