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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ (2015)

LO CHIAMAVANO JEEG ROBOT/THEY CALL ME JEEG ROBOT/LO CHIAMAVANO JEEG ROBOT 皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」

監督
ガブリエーレ・マイネッティ
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3.47 / 評価:286件

解説

アニメ「鋼鉄ジーグ」をモチーフとし、イタリアのダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀新人監督賞などを受賞したアクション。荒廃したイタリアを舞台に、超人的な力を得た男が「鋼鉄ジーグ」ファンの少女を守るため、闇の組織と戦う姿を描く。『緑はよみがえる』などのクラウディオ・サンタマリア、『グレート・ビューティー/追憶のローマ』などのルカ・マリネッリらが出演。ダークな世界観やクライマックスの激闘が見どころ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

テロが頻発するローマ郊外。チンピラのエンツォ(クラウディオ・サンタマリア)は、ひょんなことから人知を超えた力を手に入れる。ある日、エンツォが慕う“オヤジ”が殺害されてしまう。オヤジの娘のアレッシアは、エンツォを日本製アニメ「鋼鉄ジーグ」の主人公・司馬宙に重ね、二人の距離は少しずつ近づいていく。そんな中、闇の組織のリーダー・ジンガロ(ルカ・マリネッリ)の脅威が迫り……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2015 GOON FILMS S.R.L. Licensed by RAI Com S.p.A. ? Rome, Italy. All rights Reserved.
(C)2015 GOON FILMS S.R.L. Licensed by RAI Com S.p.A. ? Rome, Italy. All rights Reserved.

「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」日本アニメに並々ならぬ愛情を持つ男のイタリアからの挑戦

 「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」。イタリアの映画である。そしてこのタイトルは厳密には邦題ではない。イタリア語のタイトル「LO CHIAMAVANO JEEG ROBOT」の直訳だが、映画が開幕すると「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」と日本語も堂々と映し出されるのだ。日本の配給会社がタイトルを差し替えたのではなく、オリジナルの状態で、である。

 70年代のロボットアニメ「鋼鉄ジーグ」をこよなく愛するイタリア人監督が「鋼鉄ジーグ」にオマージュを捧げたヒーロー映画――という前情報をキャッチしている人は少なくないだろう。マイネッティ監督は子供の頃にイタリアで放送されていた日本のアニメに並々ならぬ愛情とこだわりを持っており、長編デビューとなる本作以前にも「ルパン三世」や「タイガーマスク」をモチーフにした短編を撮っている。わざわざ日本語のタイトルを映したのは彼なりのリスペクトの表明だろう。

 ただし、「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」は「鋼鉄ジーグ」を監督なりに翻案したものではない。日本の特撮怪獣映画とロボットアニメを敬愛するギレルモ・デル・トロが巨大ロボットと怪獣が戦う「パシフィック・リム」を撮ったのとはまったく別種の作品だと言える。「鋼鉄ジーグ」は劇中に置いてあくまでもシンボルとして扱われており、作品自体は「鋼鉄ジーグ」の実写化じゃないし、ストーリー的な関連もない。観客は「鋼鉄ジーグ」を一切知らなくともなんら不便を感じないはずだ。

 マイネッティ監督が試みているのは、むしろハリウッドを席巻しているスーパーヒーロー映画に対するイタリアからの返答だ。主人公のエンツォが手に入れるスーパーパワーは不死身の身体と怪力だが、使用法として思いつくのはせいぜいATMの強奪程度。エロビデオと好物のヨーグルトしか楽しみがない孤独なチンピラだ。善行を成そうとするキッカケも、自分に輪をかけて悲惨な境遇にいるヒロインへのなけなしの同情。言うなれば本作は、「社会の底辺にいる男女が身を寄せ合う」という非常にミニマムでロマンチックな英雄譚なのである。

 マーヴェルのような派手なヒーローでもDCの大義を背負ったヒーローでもない、市井に埋もれたヒーロー像。痛快でも爽快でもないが、確かにこの映画には「正しいものを信じたい」という希望の光があって、それをマイネッティがアニメの「鋼鉄ジーグ」に見出したのだとしたら、われわれ日本人も改めて「鋼鉄ジーグ」を再発見するべきではなかろうか。(村山章)

映画.com(外部リンク)

2017年5月11日 更新

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