- 作品トップ
- 解説・あらすじ
- キャスト・スタッフ
- ユーザーレビュー
- フォトギャラリー
- 本編/予告/関連動画
- 上映スケジュール
- レンタル情報
公務員と〇〇は三日やったらやめられない!
- bakeneko さん
- 2020年4月26日 18時47分
- 閲覧数 1327
- 役立ち度 6
- 総合評価
イタリアで人気のコメディアン&シンガー・ソング・ライターのケッコ・ザローネが、主演・原案・脚本・音楽を手がけた風刺コメデイで、”就活の99%はコネで決まる”と言われるイタリアで、如何なる悪労働環境でも安定した公務員の職にしがみついて頑張る主人公の根性?と恋にイタリア社会の問題点とイタリア人気質を浮かび上がらせてゆきます。
政府の公務員削減を実行すべく人事部のシローニ(ソニア・ベルガマスコ)部長は不要な人物を僻地労働に左遷することで自主退職を促して好成績を収めるが、唯一幼い時から公務員志向でコネで採用され役得に塗れたケッコ(ケッコ・ザローネ)だけがどんな僻地でも公務員の職にしがみ付いて離れない、最後の手段で北極のノルウエーとの共同研究所に赴任させるが、何とケッコは女性研究者ヴァレリア(エレオノーラ・ジョバナルディ)と恋に落ちてしまい…という風刺コメデイで、ピエモンテ州のアルプス地域から、サルデーニャ、ランペドゥーサ島(「海は燃えている」に出てきたイタリア最南端の離島)、北極圏…とイタリアが意外と沢山の地方に領土を持っていることが判ります。
そして主人公の体現する“公務員の優遇され過ぎて笑える状況”や、ノルウエーに住むことになったケッコのイライラを通して“イタリア人気質”も活写されていて、
公共心が無く、
規則を守らず、
時間も守らず、
すぐイラついて、けんか腰になり怒鳴りつけて、
インチキや役得に目が無く、
感情的で、冷静さを欠き、人種差別的
男はマザコン…という特徴が自虐的な笑いに包まれて提示されてゆきます。
音楽面でも凝っていて、主題歌ともなっているAdriano Celentanoの“Un albero di trenta piani(30階の樹木)”♪のメロディを用いた主題歌“La prima repubblica(古き良きイタリア共和国)”♪のノリノリの旋律、別れのシーンで流れるー“Tornero(僕は帰ってくる)“♪、そしてケッコがイタリアへの郷愁に駆られる” Felicita(幸せ)“♪…など、適材適所に既成曲を用いているところも聴きどころですし、各地方(特に北極圏)の映像はとても美しく撮られています(シチリアの場面では「山猫」で馴染みのあの石像が…)。
冒頭の正に“人を喰った”導入部から、変幻自在の語り口とイタリア人気質満載の主人公の行動に大笑いしながら目が離せない風刺コメデイの快作で、イタリアの公務員は意外とメカに強いことも判りますよ!
ねたばれ?
1、劇中でケッコが郷愁に駆られたTV放送は、サンレモ音楽祭2015でアル・バーノ&ロミナ・パワーが1982年のヒット曲“Felicita(幸せ)”♪を歌っているシーンであります。この2人は1960年代から90年代にかけて有名なおしどり夫婦でしたが1993年に起きた長女の米国での失踪事件によってロミナが精神を病み、それが原因で数年後に公私ともにコンビを解消しています
その2人が16年ぶりにコンビを組んでカムバックしてイタリアを揺るがす大きな話題となったのが2013年の出来事なのであります(ロミナ・パワーはタイロン・パワーの娘で父親似ですよ!)
2、あざらしはオキアミを食べません(オキアミを食べた魚や貝を食べます)。
3、本作の原題:Quo vado?は、”私はどこへ行くのか?”の意味ですが、これを複数形にするとQuo Vadis?(クォ・ヴァディス)となり、往年の名作映画となりますーキリスト教徒の受難劇を公務員の主人公に当て嵌めているわけですな
詳細評価
イメージワード
- 泣ける
- 笑える
- 楽しい
- ファンタジー
- スペクタクル
- ゴージャス
- ロマンチック
- 不思議
- パニック
- 不気味
- 勇敢
- 知的
- 切ない
- セクシー
- かわいい
- かっこいい
- コミカル