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ぼくのおじさん (2016)

監督
山下敦弘
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3.17 / 評価:710件

解説

芥川賞作家北杜夫の児童文学を、『天然コケッコー』などの山下敦弘監督が実写映画化。兄夫婦の家に居候するおじさんが、お見合いで知り合った美女を追い掛けておいとともにハワイへ向かうさまを描く。ぐうたらで変わり者のおじさんには、『舟を編む』などの松田龍平、おじさんを叱咤激励するしっかり者のおい・雪男にはオーディションで選出された子役の大西利空。松田の出演作『探偵はBARにいる』シリーズに携ってきた須藤泰司が企画・脚本を手掛ける。

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あらすじ

小学生のぼくこと春山雪男(大西利空)は、「自分のまわりにいる大人について」をテーマに作文コンクールの宿題を出される。題材探しに苦心していた彼は、父の弟で怠惰な生活を送り、屁理屈ばかりこねる居候のおじさん(松田龍平)をネタにすることを思いつく。ある日、親戚が用意したお見合いの席に渋々出向いたおじさんだったが、ハワイの日系4世の美女である見合い相手に一目ぼれし……。

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映画レポート

(C)1972北杜夫/新潮社 (C)2016「ぼくのおじさん」製作委員会
(C)1972北杜夫/新潮社 (C)2016「ぼくのおじさん」製作委員会

「ぼくのおじさん」大人びた子供と子供じみた大人の、ゆるくて笑える相棒映画

 小学生男児・雪男にとってのおじさんは、ジャック・タチが「ぼくの伯父さん」で演じたユロ氏みたいに洒落者じゃない。どころか、酷いといっていいほどダメな大人だ。居候のくせに宿題はやってくれない。ネコの煮干しを強奪して食べる。勉強に本腰を入れたいからマンガ雑誌を買わないという雪男に屁理屈をこねて買ってこさせるばかりか「お前もお金を半分出せ」と言う。ケチでぐうたら、ガキっぽくてずるく、平気で下手な嘘をついて見栄を張る。人に自慢できるところなんか1つもない、と雪男が嘆くのも無理はないのだ。

 この「おじさん」という奇矯な人物は、北杜夫が自分をモデルに書いた小学生向けユーモア小説の主人公。原作のおじさんは出っ腹なので意外だったが、松田龍平、恐ろしくハマっている。松田はオールマイティとは言いがたいけれど、力の抜けた演技がハマったときはなんとも強力なのである。こんな味わいはほかの誰にも出せまい。この作品はおじさんと、彼を観察して作文に書いている雪男との相棒映画である。

 北杜夫が書いたままの、まったりとした昭和の空気感は、若い世代にはきっと新鮮に映るだろう。まったくしょうもないおじさんの生み出す滑稽さ、利発で洞察力たっぷりの雪男がそんなおじさんの大人げなさに「やれやれ」と呆れながらツッコむ、間合いの妙。そこには「ケーベツ」に混じって、確かに愛情が感じられるからほっこりする。実はこの映画の成功は、松田以上に雪男を演じる大西利空(長い睫毛がかわいい!)のおかげだと思う。大人びた子供と子供じみた大人のコンビは「ヴィンセントが教えてくれたこと」にも通じるが、もっとゆるい(いい意味で)。ユニークな人物の人間くささをすくい取り笑いにつなげる演出は、やはり山下監督ならでは。

 映画は原作に忠実な前半から、ハワイへ行きたいおじさんが無駄な努力を経てハワイへ飛ぶくだりに「恋」を投入。このあたりは「男はつらいよ」の寅次郎っぽさを濃厚に感じさせる作りだ。しかし人物像がしっかりしているから、おじさんの面白さがぶれることはない。恋に落ちる瞬間や「地上より永遠に」を思わせる妄想など、松田の無表情という表情がたまらなくおかしいし、雪男とのやりとりも最後までおいしい。利空くんが大きくなりすぎないうちに、ぜひ続きを見せていただきたいと思うのだ。(若林ゆり)

映画.com(外部リンク)

2016年11月3日 更新

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