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PK ピーケイ (2014)

PK

監督
ラージクマール・ヒラニ
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4.27 / 評価:1302件

解説

ヒットを記録した『きっと、うまくいく』のラージクマール・ヒラニ監督と、主演のアーミル・カーンが再び組んだヒューマンコメディー。テレビ局で働く女性が神様を探している謎の男に興味を持ったことから始まる物語を、世界中で起きている社会問題を絡めて描く。主人公のPKを熱演したアーミルが、50歳を超えたとは思えない肉体美を披露し、ヒロインを『命ある限り』などのアヌシュカ・シャルマが演じる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

留学先のベルギーで恋に破れ、祖国インドのテレビ局に勤務するジャグー(アヌシュカ・シャルマ)は、ある日黄色いヘルメットをかぶって大きなラジカセを持ち、さまざまな宗教の飾りを身に着け、チラシを配布する男(アーミル・カーン)と出会う。PKというその男は神様を探しているらしく、興味を持ったジャグーは彼を取材する。しかし、PKが語る話は途方もない内容で……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)RAJKUMAR HIRANI FILMS PRIVATE LIMITED
(C)RAJKUMAR HIRANI FILMS PRIVATE LIMITED

「PK」宗教を皮肉り、その本質をシンプルにあぶり出す極上のマサラ娯楽ムービー

 これまで見た映画でもベストの1本にあげる人が多かった「きっと、うまくいく」。その監督と主演が再タッグを組んだ映画と聞けば、期待するなというほうが無理。そして本作はこの高いハードルを、軽々と越える快作コメディだ。

 前作でも青春ストーリーの中に学歴主義や格差社会の虚しさなど、社会問題を練り込む手腕に唸ったものだが、今回鋭い光が当てられる問題は、宗教。それも、もろに真正面からぶつかっていく。なんという勇敢なチャレンジャーだろう。ヒンドゥ教や仏教、イスラム教などなどたくさんの宗教が混在し、日本とは比べものにならないくらい生活における宗教の比重が重いインドで、メディアが宗教を語るのは非常にリスキーなこと。ところが本作はインド人の(いや、地球すべての人たちの)宗教観を皮肉り、宗教の本質をシンプルにあぶり出して見せる。素晴らしいのはこれが、極上のマサラ娯楽ムービーという枠を少しもはみ出さずに成し遂げられているということなのだ。

 成功のカギは、主人公を“天使”に設定したこと。文字どおりの天使ではないが、天から降ってきたPKは、地球のことは何も知らない。つまり地球の常識に縛られない、純粋無垢な存在だ。そんな彼がインドに降り立ち、あるモノを盗まれてしまったために神に祈ってみる。神様がたくさんいるインドで、大きな目をぎょろぎょろと見開きながら「なぜ?」「どうして?」と疑問をふくらませていくPK。カルチャーギャップや宗教ギャップから出た奇矯な行動で笑わせ、そのピュアな心で恋に落ち、ラストには真心を見せて観客の涙を誘う、「水から出た魚」キャラが効いている。

 愚直なまでに真実を探求するPKは周囲を巻き込み、呆れさせ、魅了しながらさまざまなことを発見するのだが、その解釈が見事なまでにズバッと的を射ていて、すごい。たとえば「神様は2人いる」とPKは言う。創造主たる本物の神のほかに、人間が創り出して、お金を貢がないといけない偽の神がいる。偽の神を作った代理人(教祖とか神主、神父たち)が人々の願いを届けていない、つまり願いごとの「掛け違い」が起きているのだ、と。このあたりは無垢な部外者、PKでなければ言えなかっただろう。ちりばめた伏線を見事に回収しながらバキュンバキュンと世の不正やギモンを撃ち抜き、感動を呼ぶストーリーテリングは、さすがのひと言。この映画にこそ、神の愛を感じずにはいられない。(若林ゆり)

映画.com(外部リンク)

2016年10月27日 更新

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