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ニュースの真相
2016年8月5日公開

ニュースの真相

TRUTH

1252016年8月5日公開

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3.0

ネタバレジャーナリズムとは

ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑を調査する報道番組チームの証拠捏造疑惑を扱った、左右どちら側から見るかで捉え方が変わる、実話を基にした社会派映画。 ダン・ラザーが、テレビの報道番組が発信することは全て正しいとされていた、昔日の栄光を懐かしむ場面があるけれど、そんな既存の巨大メディアが、インターネットの普及などにより権勢をふるえなくなり始めた頃に起きた、時代の必然ともいえる出来事を描いた作品でもある。 主人公の女性番組プロデューサーが原作者ということもあり、全体としては彼女側寄りの作りになっています。 とはいえ、事実でないことをあたかも事実であるかのように描いた、日本のあるフィクション映画とは違い、明らかになっている事実以外は作中では示されず、大統領の疑惑の真偽の決めつけは、なされていません。 ここは、できるだけ政治的に公正に作ろうとした製作者の意図が感じられる、評価できるポイント。 ブッシュ大統領が、対立候補と支持率が拮抗していたにもかかわらず再選したことを鑑みると、今回の30年前の疑惑は、事実だったとしてもさほど重大な問題ではないと、アメリカ人は捉えていたのかもしれません。 終盤の、CBSの調査委員会との対決の場面で主人公は、「ブッシュの不正を暴くことこそが肝要で証拠書類の真偽は重要ではない」と語る。 これを是としてしまえば、権力側にも、「ささいな不正は大事の前では問題にならない」という言い訳を許すことになってしまいます。 また主人公は、自分は政治的に中立だと主張しながらも、委員のひとりからの「ブッシュが実力で入隊したと考えたことは?」という質問に対し、「全くない」と断言する。 この言葉こそ、彼女が結果ありきの推定有罪の原理のもと、ブッシュ大統領の再選阻止を第一に行動していたことの証しでなはいでしょうか(ちなみに自分は、イラク戦争を主導したブッシュ元大統領を評価してはいません)。 このような姿勢は、同じ思想の人々からは拍手喝采されるかもしれませんが、反対側の人々の反発はより強まり、中道の人々の気持ちは離れていく、後ろ向きの結果しか招きません。 報道に携わる人たちには、自らも権力者であることを自覚し、予断をせず真実を伝えるという基本を忘れずにいてくれることを願いたいです。

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