レビュー一覧に戻る
カットバンク

カットバンク

CUT BANK

93

raz********

2.0

ネタバレもっと主人公の未来を観客に想像させるべき

主人公の行動はずっと受動的だったのでこの映画のストーリーは好みではなかった。やっぱり映画ならば主人公は主体的に動くべきだと思う。 そして、主人公以外の登場人物の役割が分かりにくかった。特に主人公の父と、途中から突然現れたサイコパスの二人については、ストーリーに何の意味を与えているのか不明瞭だった。いろいろ意味深なセリフがあったため、彼らの過去を紐解けば何か寓意が抜き出せるような気がしたが、でも、ぜんぜんそんなことはなかった。それもそのはずで、過去ではなく未来を考える必要があったのだ。それも二人の未来ではなく主人公の未来。 ようするに、この二人の役割は「町を出なかった場合の未来の主人公」を表していたように思う。息苦しいという比喩表現は英語でも存在していて、父の人工呼吸器の装着状態は、息苦しさを我慢し続けた未来の主人公の姿を表しているのだろうし、あるいは、我慢ができず町の人たちを拒絶した場合の主人公はあのサイコパスとなる。この町にいる限り、父かサイコパスか、どちらかしか主人公には選択肢がないという状態をこの映画のストーリーは作り出している。(なお、町の人たちはサイコパスに割と好意的だった。サイコパスが一方的に街の人たちを嫌っている感じだった。) しかし、この映画は主人公の未来について観客に想像させる工夫をまったくといっていいほどしていなかった。それゆえ、最終的に主人公が町の外に出られたのにもかかわらず、そこにカタルシスは生まれなかった。そもそも独り立ちして町を出るというホームドラマの要素と、サイコパスというクライムサスペンスの要素がケンカしちゃっているため、どうやってもどっちつかずになる気がする。ストーリーの構造的にスッキリと見せるのはすごく難しい映画だと思う。しかし、そういう難しいことにチャレンジしたという点については素晴らしかった。

閲覧数114