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モアナと伝説の海 (2016)

MOANA

監督
ジョン・マスカー
ロン・クレメンツ
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  • みたログ 5,688

3.96 / 評価:4,694件

こういう作品を作るのもまたアメリカなのだ

  • eik***** さん
  • 2017年2月22日 21時24分
  • 閲覧数 6444
  • 役立ち度 22
    • 総合評価
    • ★★★★★

Disneyアニメーションスタジオ第56作目。
SWやマーベルスタジオの作品群の大ヒットで「わが世の春」を謳歌しているデイズニ―スタジオの新作ですから本作にも勢いがありますね。
制作総指揮はPIXARのCEO、ジョン・ラセターですがディズニーアニメーションスタジオとPIXAR作品との差異は本作に限ればちょっと薄れてきている気がしない訳でもない。

というのも本作、ディズニー作品のトレードマーク:夢と希望のプリンセスストーリーの要素は希薄でどちらかと言えば一人の少女が自らの運命と向き合い前進してゆく成長談なのだ。

広大な大海原が舞台であるゆえ描写のスケールも大きくドラマチック。
巧いと思ったのは大味な物語になるのを避ける為か、登場人物の数などは極端に絞られている点。
物語が本格的に動き出す中盤以降のドラマはモアナとマウイによる、ほぼ二人芝居なのだ。
ディズニー作品のトレードマークとも言えるサイドキック役もちょっとネジの緩んだニワトリ、Heihei君のみでモアナのペットの子豚君は彼女の冒険に同伴すら許されていない。
南太平洋をつかさどる女神、テ・フィティのハートストーンを盗んだ半神マウイの行いによって豊かな島々に影が迫る。
モツヌイ島の族長の一人娘、モアナは島を救うため、そして自らの進むべき道を見定めるため単身穏やかな環礁から大海原に漕ぎ出して行くのだが…。

「リロとスティッチ」で明らかなようにディズニーと南洋テーマ自体は相性が良く本作もどこまでも青い海やそのスケール感が見事に生かされていて実に目に沁みます。
物語自体はファンタジーの王道とも言える内容ですが対象年齢は若干高めでしょうか。
海に選ばれた少女が茫洋たる大海原という大きな障害に行く手を阻まれながらもその彼方を目指す。
その姿には南洋における民族移住の史実とその原動力たる人の持つ「好奇心・冒険心・夢・希望」がストレートに見て取れる訳で物語以上に作品の印象は大きい。

彼女が出会うことになる半神マウイ(D・ジョンソン)のキャラクター設定も単純化されてはいますがその生い立ちのシビアさや彼が女神の石を盗んだ理由が語られる事でその孤独が浮彫りになり造形に深みがうまれております。
物語の展開上、モアナとマウイの「敵」となる火山の溶岩の化身たる悪神テ・カを巡る展開を見ても本作がこれまでのディズニー作品ほど単純に白と黒を分けていないのは明らか。
ディズニー作品にあっても敵と味方、白と黒の単純な描写が描きずらくなって来たのだとすればそれも時代の流れと言う気もします。
本作において一番の「ワル」は海賊軍団カカモラ(この部分はマッドマックス:怒りのフューリーロードに対するオマージュだそうです)なのだが恐ろしくキュートなので目くじらを立てる気にもならない。

元の設定ではモアナは男兄弟の末っ子だったということで性差テーマも含まれていたらしいですがあっさり変更。
これまでならスパイス程度に盛り込まれるのが当たり前であったロマンス要素も皆無。
マウイとモアナ、二人の交流に絞った描写となっており普通なら小粒な印象になりそうなもの。
しかしマウイのダイナミックな動きと太平洋の風景のおかげもあってスケールは小さくなってはいない。
特筆すべきはやはり「水」の表現でしょう。

映画上でCGによる水の表現が重要な役割を果たしたのは恐らくJ・キャメロンの「アビス(1989)」が初めてだったと思うのですが、ここまで映像化できるようになったのだなぁと嘆息しそうな出来。
とにかく大海原に吹く風や島の豊かな緑に宿る生命力まで全てがくっきりと鮮やか。
この美術だけで見る価値アリでしょう。

ディズニーのアニメで主人公が少女でありますが中身はしっかりと「冒険ファンタジー」となっておりヒロイン、モアナの活躍には十分な魅力が備わっておりますので男子にも見てもらいたい作品となっております。
ディズニーによるポリネシア文化の搾取という批判ももちろん皆無ではない訳ですが部外者としては本作に関する限りその伝統と遺産を極端に貶めている気配は無く許容できる範囲ではないかと…。

エンディングも実にポジティブで解放感に満ちていて思わず南の海への「旅」に出たくなりました。

詳細評価

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