自然の、紛争地の厳しさ、でも繰返し中州で
- nya***** さん
- 2016年10月16日 18時55分
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最初の印象は「裸の島」のようだということで、中州の状態を確認し、小屋の材料を運び込み、建て上げ、土地を耕し、種をまき、育てていく。その生活が黙々と描かれます。その生活の中で、孫娘を連れてきて、魚を採ったりして狭い中州での単調な営みが綴られていきます。
祖父については、過去から、適当な中州を見つけ出し、小屋を建て、耕し、とうもろこしを育て、刈り入れ、中州を後にするといった暮らしを、それが当然のものとして繰り返してきたようです。
孫娘の少女は華奢で幼い子どもとして表れました。ラストまで華奢な印象は残りましたが、祖父と二人の暮らしを重ね、また、傷ついた兵士と接するなどするうち、少しずつ大人びてきたように思えました。真夜中に裸になって川につかったり、濡れた服が体に張り付いたりしたところは、こちらは見てはいけないものを見てしまったようでドキッとしました。
【少女と傷ついた兵士とは、もっと絡んでくるのかと思いましたが、あっさり祖父に兵士は追い出され、兵士の登場も単調な暮らしを少しだけ波立たせるものでしかなかったような。(祖父はたいへん心配しましたが。)】
紛争する両陣営の武器を持った兵士が常に現れ、銃声が身近に聞こえ、雨で増水した流れに土地が削られるなど、厳しい環境にありますが、ここでこうして生きていくんだ、生きていくしかないんだという営みが続いていきます。
増水による崩壊のあと、何事もなかったように新たな中州が築かれ、また新たな男が降り立ちます。少女の人形が土の中から掘り出されるところは、時の流れと自然の無関心さが思われ、むなしさも感じられました。
「川」は何があろうと昔から時間は流れ、そのままあり続けるものはなく移ろうものだということ。「中州」は両方の対岸から距離を保ち、情勢がどう変わろうと、変わりなく続いていくものがあるということ。そんなことを表しているのかと思いました。
今年の「めっけもの映画」のひとつです。
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