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彼らが本気で編むときは、 (2017)

監督
荻上直子
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  • みたログ 3,978

4.08 / 評価:3359件

『スイミー』 人は誰かと生きていく 

  • とみいじょん さん
  • 4級
  • 2018年9月16日 3時32分
  • 閲覧数 2713
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

リンコにはマキオがいるが、トモの母には…。そして、トモには…。

トモがとてつもなく魅力的。
リンコでなくとも「かわいい」と抱きしめたくなってしまう。

だからか、母子についての物語に見えてくる。

リンコが、食卓にあふれる料理・キャラ弁で、トモや観客である私の気持ちを掴むのは、さすが『かもめ食堂』の監督と、心が満たされていく。

けれど、観ているうちにだんだんと苦しくなってくる。

ジェンダー。社会的・心理的性役割。男ならこうあるべき。女ならこうあるべき。父とはこうあるべき。母とはこうあるべき。

 リンコがあまりにも、昔からの”女らしさ”を体現していて、”女”ならこうあるべきを見せつけられているようで苦しい。
 リンコの見てくれの欠点を際立たせるセンスの悪い服でさえ、”女”ならああいう服を着るべきという表現なのかと疑ってしまう。
 生物学的女かつ性自認も女だって、家事や家庭科系が苦手で、フリルや花柄・スカートが嫌いで、ふるまいががさつなのはたくさんいるのに。
  
 そのリンコに対比する生物学的女かつ性自認も女たち。
 粗野な言葉・そっけない態度・脅し。子の想いよりも自分の想いの方が重くなってしまい、子をコントロールしたり、子に甘えたりする女。
 汚い部屋。スキのない部屋。
 サンプルのように典型的な、残念な女であり母たち。
 
そして、トモの選択…。決して、勝ち負けではなく、正否のジャッジではなく、リンコ・マキオとの暮らしの中で育んだ心ゆえの選択。

その中でキーとなる編み物-。
 恨みの象徴であり、
 煩悩の象徴であり、
 愛しみの象徴。
 理想の女・母も、残念な女・母も、様々な思いを込めて編んでいく。

そこにトランスジェンダーの苦難を絡ませる。

散漫にエピソードや場面をつなぎ合わせる手法は、『かもめ食堂』では、役者の持ち味もあり、異国情緒の不思議な空間にもあい、独特な世界を作っていた。
 けれど、今回の映画では物語が全体的に薄まってしまい、物足りない。

かつ、介護現場や学校他リアリティがなく、サンプルの世界を鑑賞しているようにも見える。
その中で、唯一トモが活き活きとして、この映画を愛しきものとしてくれる。


『スイミー』小学校で”習う”、ほとんどの人が知っている物語。
語ることは易しいが、実行することは難しいのはなぜなんだろう。



「性」の話を一緒にできない親子は、一緒に見ると慌てることになる。性的な場面はないが、びっくりするような性のネタ・言葉がたくさん飛び交っているから。この映画をきっかけに、話ができるようになるといいけれど。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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