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胸騒ぎのシチリア (2015)

A BIGGER SPLASH

監督
ルカ・グァダニーノ
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2.89 / 評価:155件

解説

『ミラノ、愛に生きる』などのルカ・グァダニーノが放つヒューマンドラマ。イタリアのシチリア、パンテッレリーア島で恋人と過ごす女性ロック歌手に元パートナーが訪ねてきたことから、その胸中や人間関係に思わぬ変化が生じる。『フィクサー』などのティルダ・スウィントン、『シンドラーのリスト』などのレイフ・ファインズ、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』などのダコタ・ジョンソンらが結集。誘惑と理性の境をめぐる物語に、引き込まれる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

痛めた声帯と疲れた心を休めるべく、年下の恋人ポール(マティアス・スーナールツ)とシチリアのパンテッレリーア島を訪れていた世界的ロック歌手のマリアン(ティルダ・スウィントン)。まぶしい太陽のもとで優雅な日々を送っていたものの、そこへ以前付き合っていた音楽プロデューサーのハリー(レイフ・ファインズ)と魅力的な娘ペン(ダコタ・ジョンソン)が現れる。復縁するチャンスをうかがう彼と、どこか退屈なものを感じていたポールの間で揺れ始めるマリアン。一方のペンは、誠実で心優しいポールに興味を抱いていた。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2015 FRENESY FILM COMPANY. ALL RIGHTS RESERVED
(C)2015 FRENESY FILM COMPANY. ALL RIGHTS RESERVED

「胸騒ぎのシチリア」原案の大筋は保ちつつ独自のひねりと磁力を差し出す、スリリングなリメイク作

 南仏のリゾート。プールを望む優雅な隠れ家で”恋のバカンス”を満喫する大人なカップルの下に女の元恋人が娘を伴いやってくる。微妙な二重のラブトライアングル、そうして迸る殺意――。公開された1969年当時、実生活でも殺人事件がらみの醜聞に巻き込まれていた人気スター、アラン・ドロンの虚実皮膜な話題作「太陽が知っている」を「ミラノ、愛に生きる」の監督ルカ・グァダニーノと主演女優ティルダ・スウィントンがリメイク、大筋は保ちつつ独自のひねりと磁力を差し出すのが「胸騒ぎのシチリア」だ。

 お気楽にゴージャスなリゾート・ロマンスかと錯覚させるタイトルを裏切り、映画はシチリアとチュニジアの間に位置する火山の島のむきだしの自然、荒々しい官能と美をそのまま持ち味としてみせる。あるいはハイブランドを着こなすロック界のスターをヒロインに、いかにも今日的な嗜好(例えばミネラルいっぱいの泥パック、島民手作りのリコッタチーズとかとかのおしゃれな自然派ぶり)を押さえつつ、リメイク版は69年版のヒロインのしっとりとした成熟よりは、大人になれないヒロインや世界の過激さ、尖りの方を積極的に見出していく。

 いきなりの来訪を告げる元恋人(レイフ・ファインズ!)からの機内電話がヒロインと年下のパートナーとの和みのひと時を妨げる。と、ふたりの横たわる大地にみごとにくっきりと機影がよぎる。そのぴたりとしすぎのタイミング。これみよがし寸前のドラマチックがちんまりと程よい趣味のよさに収まったりしない監督グァダニーノの興味深さを縁取る。そんな監督にヒロインが声帯の手術直後で沈黙を強いられるとの設定を提案したスウィントン。「ミラノ、愛に生きる」の彼女は、名門に嫁いだロシアの娘が自身の名前を奪還するまでの歩みをメロドラマの底に響かせた。今回もふたりの恋人の間で揺れつつ失くした声/自分を取り戻す軌跡をゆっくりと浮上させる。そうすることでどこまでもドロンの映画だった69年版に対し、リメイク版はヒロインの映画へのシフトも軽やかに成し遂げている。その意味ではロリータな娘役をきめるダコタ・ジョンソンのじわりと効いてくる存在感も見逃せない。男の映画から女の映画へ、スリリングな転回に時代を映すリメイクとしても要チェックだ。(川口敦子)

映画.com(外部リンク)

2016年11月17日 更新

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