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誰のせいでもない (2015)

EVERY THING WILL BE FINE

監督
ヴィム・ヴェンダース
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3.17 / 評価:229件

極めて内省的、微妙な心理の振幅と変遷の話

  • oir***** さん
  • 2020年10月31日 10時48分
  • 閲覧数 128
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

とにかく長い長い物語。集中が途切れることはなかったけれど1.3倍速でも2時間以上経過したような時間感覚。

急な子供の飛び出しをよけきれずひき殺してしまった作家と、子を失った家族のその後10年にわたる並行ストーリー。

映画内では単なる不運で済まされ何ら司法的な咎めを受けた様子が見られなかったが、この時点で日本ではそうはいかないだろうなぁと思われた。運転側の過失がまず問われ、示談が不成立となり刑事告訴となれば交通刑務所行きもあり得るのではなかろうかと。もちろん相応の賠償金を遺族に支払った上で。
映画でも描写はなかったが保険金の支払いはされたのかもしれない。しかしそれらの経過を省略したために終わりまでモヤモヤが残ることになる。

作家も良心を痛めていることは確かで、6年後事故現場を再訪し母親と再会し心を打ち明け合う。
その時の母親の態度は驚くべきもので、欲情しているわけではないが作家の腿に枕を載せて眠りに落ちるなど、その行動心理は非西欧圏の人間にはなかなかくみ取りがたいものがあった。

それからさらに4年後、今度は交通事故で死んだ男の子の兄、事故当日作家が肩車をしてあげた男の子が成長し、作家に会いたいと手紙を投函する。
そしてその際の男の子の言動がこれまた奇妙。要は事故後に作家は成功したのに自分と母は不幸なままだと静かになじる。
男子の気持ちも分からなくはないが、あんなふうに詰め寄られては作家もたまらんよなぁと同情。
それでは気が済まなかった男子のさらなる奇行に至ってはもはや理解不可能。しかし、あくまでクールトーンの作家が男子に示した行為が〝抱擁(ハグ)”。そしてEND

なんだ結局ハグが、いや愛のこもったハグが、真の愛情の発露が作家には欠けていたということか・・・。

その愛の欠落は新旧のガールフレンドとのエピソードで徐々に明確化され、以前の恋人と偶然の再会時の〝ビンタ”が作家にも強い気づきをもたらしたのだろうと推察される。
つまりは本作は自らの執筆のみに懊悩し〝愛が沈静していた”一作家が、ある事故をきっかけに10年超という歳月をかけて〝愛が呼び覚まされる”物語ということのようです。

思い起こせばヴェンダース「ベルリン天使の歌」「パリ、テキサス」も静謐の中の微妙な心理の振幅と変遷の物語だったし、これはこれで悪くはない視聴感だったと言っていいように思いますね。

ただ一つ、音楽はベストマッチではなかった。

3.8の四つ星

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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