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高い窓

高い窓

THE BRASHER DOUBLOON

72

rup********

4.0

ネタバレブラッシャー・ダブルーン

当時、RKOではディック・パウエル主演で「ブロンドの殺人者(さらば愛しき女よ)」、ワーナーではハンフリー・ボガート主演で「三つ数えろ」、MGMではロバート・モンゴメリー主演で「湖中の女」と、<フィリップ・マーロウもの>が立て続けにつくられていた流れに乗って、20世紀フォックスが製作したのが本作で、Bムービーではあるものの、手際よく仕上げられた作品になっています。 マーロウを演じているのは、メジャーな作品への出演が少ないジョージ・モンゴメリーで、口髭をつけてダンディーにキメているイケメン風。 マーロウは、ある屋敷に呼ばれて、盗まれたレア金貨《ブラッシャー・ダブルーン》の行方を探すよう依頼されます。 依頼主である富豪の年配女性マードック夫人を演じているのがフローレンス・ベイツ。 「レベッカ」でヒロインを話し相手として雇っている金持ちの夫人を演ってましたね。本作でも貫禄十分で、高圧的なおばさんキャラです。 屋敷には、マードック夫人と一緒に反抗的な息子と若い女性秘書が暮らしているのですが、女性秘書のマールは、過去に一家の主であるマードック氏が亡くなった事件にまつわる秘密を夫人に知られていて、その事件がきっかけで男性恐怖症に陥っています。 マールを演じているのはナンシー・ギルド(彼女が出演しているマンキーウィッツ監督の日本劇場未公開作「記憶の代償」のDVDの予告編を観ると、”ナンシー・ガイルド”というのが正しい発音のようです)。 ローレン・バコールやリザベス・スコットのようなハードボイルド物に似合う鋭さを持った女優さんとは違って、ちょっとお嬢様風の雰囲気があって可愛らしい。 ジョージ・モンゴメリーとは美男美女カップルといった感じでとてもしっくりきます。 マールがマードック夫人から、マーロウが手に入れた金貨を取り戻すよう命じられて、マーロウの自宅にやってくる場面は、特に2人の良い雰囲気が出ています。 マールが女の魅力を武器にして迫ろうとするのですが、彼女を軽くあしらうマーロウの対応が面白いですし、マールが拳銃を突きつけて脅しても、マーロウは余裕綽々で、彼女を引っ掛けてあっさり拳銃を取り返してしまうやり取りなんかも洒落ていて良いですね。 事件の真相が明らかになる謎解きの場面ももたつくことなく処理されていて、撮影フィルムを使った検証というのが当時の犯罪ものとしては珍しい感じがしました。 監督は、ドイツ出身のジョン・ブラーム。 ラングやシオドマクほど有名な監督ではありませんが、「謎の下宿人」「戦慄の調べ」「危険な女」といったフィルム・ノワールの小傑作を手掛けている人です。 本作は、ハードボイルドとしてはパンチに欠ける感じはしますが、70分程度で簡潔にまとめあげる小気味の良いストーリー展開には爽快感がありました。

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