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ダンケルク (2017)

DUNKIRK

監督
クリストファー・ノーラン
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  • みたログ 1.2万

3.95 / 評価:10302件

戦争映画として及第点だが私は1964版が好き

  • うろぱす副船長 さん
  • 2017年9月18日 20時56分
  • 閲覧数 1194
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

私はノーラン映画ははっきりと好き嫌いが分かれるんです。
「ダークナイト」や「インターステラー」は非常に良かったが「プレステージ」や「インセプション」は難解過ぎて頭痛がしてきた。

今回の「ダンケルク」はノーラン映画の骨頂である複雑な時系列もまあまあ理解出来る範囲で頭が痛くなるような事はなかった。実機のスピットファイアを3機も飛ばしたりと戦闘シーンの迫力も十分であり戦争映画としては十分及第点が付けられます。

特に第二次大戦序盤のナチスドイツ軍の猛攻の前に英仏軍の敗走ぶりがノーランのお家芸である人間心理の不安を煽る演出が見事で戦争の恐怖が身に迫ってくるあたりは流石と言えます。

ところで戦争映画マニアの方は御存知ですがおよそ半世紀前の1964年に公開されたフランス映画「ダンケルク」という戦争映画があります。名優ジャン・ポール・ベルモンド主演で映画史上屈指の名作として知られています。ドイツ軍が空中から投下した降伏勧告のチラシや海岸に設置された応急桟橋など1964年版は今回のノーラン版にもかなりに影響を与えているのが分かります。

ドイツ軍戦闘機が英軍艦船を攻撃するシーンなどにも1964年版へのオマージュが感じられます。ところでノーラン版は個々の将兵や民間人にスポットをあてた演出でありダンケルクの戦い全体を描いたとまでは言えない。登場する将兵の数も意外と少なく敵であるドイツ兵はほとんど登場しない。スケール感が予想以上に小さかったのが個人的には不満であった。

それに対して1964年版はノーラン版よりも格段にスケールが大きくダンケルク戦の全体像を俯瞰的に演出しておりその歴史的史実の再現感は多くの映画の中でもトップクラスの作品なのです。この2作品を見比べると私のような戦争映画マニアは断然1964年版の方が好きです。やはり戦争が終結して20年しか経過しておらず生々しい記憶が残る60年代に製作された1964年版は21世紀の卓越した映像的天才であるクリストファー・ノーランをもはるかに凌いでいたという事でしょうか・・・

但し前述した通りノーラン版「ダンケルク」は決して悪い作品ではないので映画館で鑑賞する価値は十分にありましょう。

補足
1)
ノーラン版に登場するスピットファイアは実物だがメッサーシュミットBf-109は大戦後にスペインで生産されたタイプ。「空軍大戦略」をはじめ戦争映画登場するドイツ軍戦闘機の大半はこのスペイン製。

2)
燃料切れのスピットファイアが滑空状態で敵機を撃墜するシーンがあるが常識的に考えられない。ここはかなりの減点ですな。

3)
英海軍駆逐艦D36として登場するのは仏海軍退役駆逐艦「マイレ・ブレゼ」。本艦は大戦後に建造され退役後は記念艦として保存されている。映画出演の為、ダミーの砲塔を設置するなど軍事マニアの方は注意して見ているといろいろ発見があるでしょう。ノーラン版が公開される前、この駆逐艦が大戦期の英海軍の迷彩を施して出演する、との噂があったが実施されなかったようだ。

4)
配役陣だが新人や無名の人が多くて大半は分からなかった。知っていたのはケネス・ブラナー、キリアン・マーフィー、トム・ハーディーぐらいだった。

5)
クリストファー・ノーランは英国人だが保守派だったのか・・・
スコットランド独立騒動などに揺れる現代のイギリスでノーラン版はどう見ても保守的史観による映画だ。敵に追い詰められた友軍を救出する為、多くの民間船が英国民間商船旗(赤のユニオンジャック)をなびかせダンケルクの沖合に現れるシーンは多くの保守派の英国人を奮い立たせた事だろう・・・

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