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映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 (2017)

監督
高橋敦史
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  • みたログ 2,474

3.13 / 評価:2066件

ドラえもん映画に新たな可能性を残した傑作

  • sta***** さん
  • 2017年7月30日 12時27分
  • 閲覧数 1302
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

昨年の「新・日本誕生」がリメイク作品では最高傑作であり、その翌年の完全新作と言うことで正直不安でした。
オリジナルでは「ひみつ道具博物館」が唯一良しと言ったところで、その他は酷い有り様です。
特に宇宙英雄記は最低クラスの駄作であり、新作の信頼はほぼ失っていたといっても過言ではないでしょう。

そこで登場した「南極カチコチ大冒険」、なんて安直なタイトルだろう。本当に大丈夫なのか?と思っていましたが…

申し訳ございません!恐れ入った!参りました!
と叫びたくなる程の、とてつもない傑作がまた誕生しました。

原作の「大氷山の小さな家」というエピソードを元にした本作は、猛暑の日、ドラえもんとのび太は「思い切り沢山のかき氷を食べたい」と話し、どこでもドアで南極に向かう所から始まります。
南極の氷を使ってたらふくかき氷を食べるだけでなく、氷細工ごてという氷を自由自在に操るひみつ道具を使って家を作ったり、更には遊園地までも作ってしまい、ジャイアン達も誘って皆で遊ぶ、見ていてワクワクするシーンから一転。のび太が偶然、氷漬けになった謎の腕輪を発見します。
その腕輪はドラえもんの解析により、10万年前の南極で凍った事が判明。
もしかしたら世紀の大発見である可能性を感じたドラえもん達は、南極探査をすることに。
すると氷の下に謎の巨大な古代遺跡を発見。遺跡に入ると、次々と異常現象が発生。
「一体10万年前の南極に何があったのか…」
腕輪の持ち主を探す為、10万年前にここで起こった事実を知る為、ドラえもん達はタイムベルトを使い、10万年前の南極ヘタイムスリップ。
謎が謎を呼ぶ時空を越えた壮大な冒険の向こう側に、地球存亡の危機が静かに待ち受けている事を、彼らは知る由も無かったのです。

今作は非常にレベルの高いタイムトラベルSF作品であり、伏線とその回収が優れた名作でした。
前作の「新・日本誕生」は7万年前の世界のみで繰り広げられますが、今作は現代と過去の両方が舞台であり、日本誕生に負けない壮大なスケールです。
タイムトラベル物は時間錯誤が生じ、よく矛盾が発生しますが、本作はそのような矛盾は全く無くしっかり筋が通っています。
物語中、見る者に謎と違和感を残す伏線やトリックが沢山散りばめられますが、その回収の仕方が見事で、「そういう事か!やられた〜」と唸る程でした。
観客を良い意味でクールに騙していく様には、カッコ良さと清々しさを感じ、こんな感覚は今までのドラえもん映画にはありませんでした。
非常に計算された、よく練られた構成、脚本になっています。
ドラえもん映画の域を越えて、一つのSF映画としても優れています。

今回の大筋のテーマは「10万年の時を越えた友情と救出劇」となっており、途中でドラえもんがのび太達と10万年の隔たりで引き裂かれるシーンがあってハラハラし、そこからどう隔たりを乗り越えるかという所の解決の仕方も見事でした。
そして、恐らくドラえもん映画史上初となる「偽ドラえもん」が登場するのですが、これがドラえもんとのび太の強い絆と友情が試される、ドキドキのシーンとなっています。
また、「宇宙で星が放った光が地球に到達するまでに10万年かかる」という事実を巧みに使ったラストシーンでは、「こんな使い方があったか!」と脱帽すると同時に、ホロリと涙が頬を伝る最高のラストでした。

監督である高橋敦史さんは、多数のジブリ作品に携わった方であるだけに、演出面も凝っていました。
特にドラえもん達が空き地でどこでもドアをくぐり南極ヘ行く場面で、皆がドアをくぐり終え、ひとつポツンと残されたどこでもドアを包む静寂と、そこからどんどんカメラが遠ざかっていく演出。タイムベルトでタイムスリップする時の、超空間の美しい映像。
遺跡の中を探検するドラえもん達の背後にそっと近づく謎の影と、不穏な空気。
こうした一つ一つの演出に深みと余韻を与えていて、こうした所が今までのドラえもん映画には無い、上質さと芸術性を感じました。

音楽の完成度も過去最高クラスです。
古代遺跡を発見した時の、興奮と恐怖を表現した音楽。
ラスボスが登場した時の、恐ろしさと迫力を表現した音楽。
ドラえもんとのび太が引き離されるシーンでの絶望感と悲しさ溢れる音楽。
オーケストラ風の壮大な音楽ばかりで、音楽に力を入れているのも伝わってきます。
これも今までのドラえもん映画にありそうで無かった要素です。

「南極カチコチ大冒険」なんて安いタイトルからは想像できない位の、「大人の観賞に堪えうる上質な映画」だと感じました。
レビューで低評価されている方は、一体どれほどまでに感受性の欠けた、頭の悪い方なんでしょうね(笑)
正統派タイプではありませんが、「ドラえもん映画にはまだまだ未知の可能性がある」事を証明し、今後の扉をこじ開けた、間違い無くドラえもん映画史上に残る金字塔です。

詳細評価

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