落ちぶれた男の話
- ジャビえもん さん
- 2021年1月20日 10時24分
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ミアとセブが視線を交わし合うラストのシーン、「ストリート・オブ・ファイヤー」での、トムとエレンが視線を一瞬交わし合うシーンを思い出しました。しかし、あれとはずいぶん違うなあとも感じました。トムとエレンは、お互いの道を進もうという決意のもと、二人の絆を確かめ合うようにして視線を交わしています。しかし、ミアとセブはどうでしょう。夢を手に入れてセブとは違う男と幸せに暮らし、もうセブのことなどすっかり忘れて、ああ好き合って頃もあったねえ、といった様子のミア。ミアを見て、ああ、二人が今も一緒だったならなあ、と未練たらたらなセブ。男を次々と換えて、そのことに罪悪感の欠片も感じていないようなミアにも、男らしくもなく(実は男ってみんなそうなのかもしれませんが…)昔の女のことをいつまでも引き摺っているようなセブにも、感情移入できません。とくに、セブ。「おまえの付き人にはなれねえから、俺は俺の道を行く。だが、おまえのためなら、いつでも命をはるぜ」と言い残してエレンのもとを去るトムの男らしさとは、大違い。男も落ちぶれたもんだ、と嘆かわしく思いました。
二人が惹かれ合い、やがて愛し合うようになるまでの描写が、わりと丁寧に描かれているのに、二人が破局したいきさつにはいっさい触れない脚本にも、あまり感心しませんでした。描かないからこそ、想像力が掻き立てられていい、ということもありますが、しかし、ここをはしょってしまうと、二人のあの大恋愛は何だったんだよ、といった気分にもなります。私はそうでした。五年後、他の男と暮らしているミアの姿を見た瞬間、「はあ?」と思い、一気に気持ちが萎えました。五年間をはしょることによる、何かしらの効果を狙ったのかもしれませんが、必ずしも成功しているわけではないのでは…。
冒頭のミュージカルシーン。絶賛している人もいらっしゃいますが、私は正直、「しょぼい」と思いました。こればっかりは、人それぞれの感想ですから、仕方ないですよね。私の場合、それまでに観てきた数々のミュージカル映画に対する思い入れがあるので、きっと、それが邪魔するのでしょう。少しも心動かされなかった、というより、なんだよこのしょぼいシーンは、と思ってしまいました。ファンの方々、ごめんなさい。でも、そもそもこれ、ミュージカル映画としては、下の下じゃないかな。しょぼい歌のシーンがそれほどの効果を上げているとも思えないので、いっそ、普通の映画にすればよかったのに…。
ミアがプリウスを見つけるシーン。ここは何だか笑えました。このシーンに☆一つ。それと、エマ・ストーンは不思議な魅力を持った女優さんで、ここでもとても印象に残ったので、彼女に☆一つ。
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