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ラ・ラ・ランド (2016)

LA LA LAND

監督
デイミアン・チャゼル
  • みたいムービー 2,347
  • みたログ 2.3万

4.05 / 評価:19,572件

この映画を見る「あなた」に想いを馳せて

  • バツイチ王子 さん
  • 2017年2月4日 3時54分
  • 閲覧数 34278
  • 役立ち度 415
    • 総合評価
    • ★★★★★

大ファンであるライアン・ゴズリングとエマ・ストーン
彼らが主演を務める本作は、すこぶる評判がいい
極上のミュージカル、ゴールデングローブ賞7部門受賞
トム・ハンクスをして、途方もないと言わしめる
そんな肩書まで纏い、アカデミー賞でも各賞を席巻しそうだ

監督はデミアン・チャゼル
前作「セッション」でどぎついインパクトを残したあの監督
そんな溢れる情報に掻き立てられ、いち早く鑑賞にありついた


映画は、前評判で想像するほど強烈なインパクトなどない
しかしながら、映像美、ダンスと演奏、ラストの仕掛け
それらが胸の奥を突き上げ、鑑賞後もジワジワと胸を騒がせる

予想を覆すどんでん返し、あっと驚くサプライズ
そんな分かりやすい刺激を弄せずに
夢を追う若き男女を、奇を衒わずにまっすぐ描く
まだ可能性に溢れる彼らに、かつての自分達を重ね
終わったはず、忘れたはずの過去へ、
記憶をロールバックさせたのは、俺だけではないだろう
この映画を見るであろう「あなた」は、どうだろうか

ちょっと大げさに言うと、俺の映画鑑賞史に残る一本だ


オープニング
渋滞のハイウェイ、フラッシュモブからのダンスシーン
異質な舞台に似合わぬ美しい歌唱とキレのいいダンスがコラボする
ミュージカルらしい華やかな幕開け、バランスいい美しさを纏っている

この場面が象徴するように、ワンショットの長回しが多用される
さらに、いちいち構図が絶妙で、色彩も美しくスタイリッシュに魅せる
長回しにも関わらず、どの瞬間瞬間においても
いちいち絵画のように、計算された色彩と構図が備わって見える
細部まで気を配り、丁寧に丁寧に場面を重ねていったのだろう

それを背景に、若きジャズピアニストと女優のタマゴが動き出す
恋の展開と喜怒哀楽を、冬から春、夏と、四季に準えて展開を形成
ぶっきらぼうで、抑えめに感情を滲ますセバスチャン
持ち前の屈託ない明るさで、自分を鼓舞するミア
夢追い人の二人が、徐々に惹かれていく姿にかつての恋を思い出す

二人がやはり恋人役で共演した大好きなコメディ「ラブ・アゲイン」
そこでも感じたが、感情表現異なる二人は、とてもお似合いだ

セブ役ライアン・ゴズリングが見事なのは、その役作り
相変わらず、わずかな表情の変化で感情をそれとなく滲ませ
ミュージシャンらしい偏屈さを完備する
また併せて、吹き替えなしとは思えぬほどの演奏も見せる
監督の前作「セッション」もジャズの映画だったが
本作でも、そのジャズ愛がセブに託されていると感じた

ミア役エマ・ストーンが見事なのは、その女優っぷり
実力あるも売れない女優として、上手すぎない演技の匙加減が最適だ
序盤のオーディションの空回りから、終盤圧巻の独演シーンへ
ドキュメンタリーでも見るように、自然な振る舞いで繋げていく
その歌唱力も相まって、見ごたえ十分な場面が用意されている

そんな二人の、息の合ったダンスも魅力的
スタイリッシュな二人の映画みたいな恋は、とてもロマンティック
恋の触媒となった映画、ジェームス・ディーンの「理由なき反抗」
そこで使われたグリフィス天文台を舞台に使うのも、また心憎い
さらに、「セッション」の鬼教官役J・K・シモンズが
ジャズレストランオーナーとして登場し、思わず身が引き締まった


ただそんな風に持ち上げつつ、中盤はやや間延びした感があり
まあまあ秀作かなと、展開を知ったようにせっかちに評価をしかけた
しかし、そこから物語に変化が起こり、終盤へと動きだす

追った夢とは違えど、成功を掴みつつあるセブ
直向きに夢を追いつつも、振り向かれないミア
運命が二人をズラして恋を試し始めると、以降は映画に引き込まれた


そしてラスト
物語の集大成が、じわじわとオレの涙腺を刺激する

決して、今が不幸なわけではない
しかし、もしあの時違う選択をしたらどうなっただろうか?
かつて同じ時間を共有し、その後、別の道を選んだ「あなた」を思い出す
未練はないが、当時の自分の振る舞いに心残りがなくはない

セブとミア
二人の複雑な感情が詰まったあの場面、オレの琴線にがっつり触れる
言葉にならない彼らの感情を慮ると、それだけで切なくなる

心の奥底に眠っていた、忘れたはずの青臭さが目をさます
お気に入りの「天使のくれた時間」にも通じるノスタルジックな感傷
今は無き、あの頃の楽しかった時間
それが未だ残っているものだけが味わえる特権だ
幸せとも不幸とも取り得る、その曖昧な感覚は
100%のハッピーエンドよりも、むしろどっしり心に居座ってしまう
そんなちょうど良いほろ苦さが、いい余韻となって幕は閉じる

エンドロールが流れる間
セブの演奏に自分の想いを乗せ、ミアと「あなた」を重ねて目を閉じた
遠い町のどこかで、この映画を見た「あなた」は
俺と同じように、終わったあの日のその後に思いを馳せるだろうか

詳細評価

物語
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