ここから本文です

わたしは、ダニエル・ブレイク (2016)

I, DANIEL BLAKE

監督
ケン・ローチ
  • みたいムービー 491
  • みたログ 1,596

4.10 / 評価:1,194件

「保育園落ちた 日本死ね」と同じメッセージ

  • kako9121 さん
  • 2017年4月1日 17時56分
  • 閲覧数 2436
  • 役立ち度 16
    • 総合評価
    • ★★★★★

 ストレートでメッセージのはっきりした社会派のヒューマン・ドラマでした。見終えた後は、心がとても温かくなるのと同時に、やるせない気持ちといいますか、やり場のない憤りにかられます。その2つが混在する気分は妙に不思議なものでした。そうそうあることではありません。

 国民投票によってEUからイギリスが離脱することになったのは当然の結果だったのかもしれません。原因は景気が悪くて仕事がないことに国民が怒ったから。
 政府は体面と外交ばかりに目を向けて国内の労働者の窮状を救うばかりか、年金や手当さえ減らそうと制度を厳しくしてきました。そのツケがEUを支持するキャメロン政権への批判となり、EU離脱という国民の選択につながったのですね。

 ニユーキャッスルはかつての炭鉱の街。重工業も盛んで、アメリカでいえばデトロイト、日本でいえば北九州のような街でしょうね。ですから近年はさらに景気は悪く、凋落する地方の代表が作品の舞台。

 最初は「わたしは、ダニエル・ブレイク」というタイトルが何を意味しているのか知りませんでした。映画を観て初めて分かりました。
「保育園落ちた 日本死ね」というネットの書き込みが去年注目されましたね。制度の狭間に落ちた、幼い子供を持つ女性の、やり場のない怒りを表した言葉でしたが、「わたしはダニエル・ブレイク」というタイトルも同じ意味合いだったのですね。

 日本の制度にも共通するものがたくさんあります。介護・福祉の現場では介護や福祉を受けたい人の需要は多く、必要なことは分かっているのに、賃金は安く労働は厳しく人手は足りません。年金もどんどん減らされています。
 お金のある人にとっては関係のない話ですが、いったん社会からスポイルされそうになれば、坂道をころがるように貧困に落ち込んでいきます。この映画でもその道筋がとても分かりやすく描かれていました。

 映画のセリフの中で「根が優しくて、正直な人は、この国の制度では救われることなく、ホームレスになってしまう」といったようなセリフがありました。
 逆にいえば、根性が悪くて嘘つきとして生きていく現代社会ということになります。それはあまりにも悲しく絶望的な社会ですね。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 勇敢
  • 知的
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ