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劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!

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4.0

ネタバレ明快!しかし惜しい

テレビシリーズとは違う敵が地球に襲来し、それに立ち向かうウルトラマンオーブと、先輩ウルトラマン数名、そしてその他の仲間達の活躍が描かれる。 活躍人数が絞られ、エピソードも比較的適切な時間配分で描かれており、明快で観やすい作品だった。 テレビシリーズ視聴を前提としているため、初見には説明不足かもしれないが、長々と説明するよりはテンポはいい筈。 かといって「オーブの集大成」という赴きではなく、「ちょっと強い敵がやってきた1エピソード」というスタンスであり、過剰な感動を煽る事がなく、胃もたれすることも無かった。 この「感動作回避」は効を奏し、 ・ディバイザーの中のウルトラマンXがカーナビのマネをする ・逃げ惑うシリーズの監督たちが全員集合する ・「ウルトラセブンの歌」の歌詞をなぞってセリフを言う などのギャグ要素も違和感なく作品を明るく彩ることになった。 椿鬼奴は、怪演ぶりもさるとながら、少女のような純粋さが屈折した、言い様のない悲壮感も漂わせ、酒やけした声までしっくりハマっている。 シリーズのメインのチームがそのまま製作していることもあり、おかしなキャラ崩壊などはなく 愛情を持たれるべきメンバーは全て活躍する。 なんの説明もなくやってくる老人:モロボシダンが、急にウルトラセブンになるくだりは、いささか子ども達にはハードルが高いかと思ったが、杞憂だった。 私が観賞した劇場ではむしろ、彼が映るや子ども達が「ダンだ!」「セブンだ!」と大喜びしていた。 画面的には 長回しと、奥行きを活用した田口演出が光る。車で、怪獣がいる現場に到着した瞬間、「角を向こうに巨大な奴がいた!」という絵面は、スクリーンの大きさと相まって大きなインパクトとなる。 さて、そんな本作の惜しい部分は2つ オーブトリニティという新しい最強フォームになってからの戦いが、若干長い。 おそらく、結局一人ではなく、いろんな仲間の助けを貰って勝利する「絆の力、お借りします!」という部分を強調したかったのだろうか? と今なら予想できるか。 だとしたら、その表現はあまり伝わって来ないし、単にちょっとテンポを欠く時間帯と思えてしまった。 まだ、勝てないなー。かといって負けたり、変身が戻ったりもしないなー。 というポイントは、少々展開を欲張った感がある。 もう一つは、「ウルトラマン、がんばれー!」を言わせようとする演出。 これが子ども達に伝わっていなかった。 激戦の最中、応援することしかできないSSPのメンバーが、世界中にライブ配信している ビデオカメラに向かい「ウルトラマンを応援してくれ!」と呼び掛ける展開にかこつけ、劇場の子ども達と一緒に「がんばれー」をやり、世界中の子ども達の「絆の力」をお借りするという巧みな演出、、、。になる筈だったのだろう。 しかし余りにも劇中で完結し切っている巧みさが災いしたのか、それとも子ども達を戸惑わせたのか、子ども達を動かすには至らなかった。少なくとも、私のいた劇場では。 もう一度確認しておくが、私が観たときの劇場の子ども達は、モロボシ・ダンの登場も声を上げて喜んでいた。セブンの歌も一緒に歌う、「オーブの祈り」も大合唱になるほどボルテージが高かった現場だ。それなのに、応援のくだりは全く応じて貰えなかった。静かだったくらいである。 子ども騙しが、騙されなかったかのような、上滑った空気さえ流れていた気がする。 あの劇場では、絆の力はお借りできなかった。 実はこの惜しいポイント、映画のサブタイトルを踏まえる上で、重要な所だったのでは無かろうか? ここがあまり印象に残らなければ、さほど「絆の力」の話ではない。 「オーブトリニティ! 見参!」 くらいの、明快なタイトルでも良かったくらいでは? 基本的に映像演出のワザをもっている田口監督だが、時折こういった決定的ね惜しいところが出てしまうのは、ご愛嬌と思っておこうか。 というわけで、「いつものオーブが面白くスケールアップした話」と思って観るのがいいだろう。ウルトラマンを楽しむには十分。 少なくとも「絆」は期待しないように

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