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ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命
2017年3月31日公開

ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命

JACKIE

992017年3月31日公開

tir********

4.0

観ておいて損はない

評価が低いのでナタリー ポートマンと、賞賛されていた衣装目当てで観に行ったが、思ってたよりストーリー自体楽しめたし、何より私が予てからジャッキーへ持っていた印象もちょびっと修正できたので、観ておいて良かった。 誰もが知る、テキサスでのパレード中に起きたあの衝撃のケネディ暗殺。 ピンクのシャネルのスーツに身を包んで笑顔を振りまいていたジャッキーがまるでアメリカの中心にいるような気分に浸っていた瞬間、夫ケネディが血まみれで横たわり、それと同時に彼女が後方に飛び散った彼の脳の破片を集めて夫の頭を抱えたあの映像の中で、その若きファーストレディに駆け巡った思い、そしてその後、周囲の反対を押し切ってまでケネディの亡骸を大聖堂まで追悼パレードを決行させたまでの真意をライフ誌のインタビューと神父との会話、そして彼女の回想によって描かれる。 ケネディ暗殺時、ジャッキーはわずか33歳。今もアメリカ史上最も世界中の印象に残るファーストレディとして名を残すのは、その洗練されたファッションだけではない。 学生時代から文才に恵まれ女性記者として働いていた彼女は、メディアと雑誌の大きな影響力を熟知しており、大統領歴わずか2年10ヶ月だった愛する夫ケネディが、死後も永遠にアメリカ史に残る大きな存在になるために、見事なまでのプロデュースを成し遂げたからなのだと言うことがこの作品で見て取れる。 ジャッキーは、ケネディを深く愛してたと同時に彼の度重なる女癖許せなかったと神父との会話で示唆している。 彼を愛する子どもたちの良き父親として愛しながらもいつの間にかジャッキーはケネディを男としてではなく、「大国の大統領」である彼を「ファーストレディ」として愛するようになったのではないだろうか。 それ故に彼女はホワイトハウスを後にする瞬間まで、未亡人としての悲しみに暮れながらも、気丈に最後までファーストレディとしての任務をこなしていたのだろう。 そう言う意味ではナタリー ポートマン演じるジャッキーの行動は何かと一貫性がなく見え、妻としてと、母として、そしてファーストレディとしての3つの顔で悲しみや苦悩を感じる複雑なジャッキーの感情はなかなか伝わりにくい部分もあるし、恐らくそれも評価が分かれる理由なのかなとは思う。 夫の好きだった「キャメロット」のレコードを聴きながら、ホワイトハウスの部屋中を様々なドレスに身を包みながら、ファーストレディであった自分を身体に刻み込むように歩き回るシーン。 悲しみに打ちひしがれているのか、それとも過去の栄光を反芻しているのか、そのどちらとも取れる絶妙な表情をするナタリー ポートマンは見事だった。 ジャッキーは目が離れてる魚顔のファニーフェイスなので、完璧な美貌のナタリー ポートマンは似ても似つかないが、歩き方や仕草などは、私が過去の映像の印象と全く同じように見える。 因みに私は、なんとなくで申し訳ないがこのジャックリーン ケネディという人物が正直あまり好きではなかった。 それはきっと浪費グセをうかがわせる華やかな洋服に身を包んでいたことと、そのファーストレディが夫の葬儀で子どもの姿と共に世界中の涙を誘ったのにも関わらず、そのたった5年後には大富豪オナシスと再婚する彼女の生き方に、地位と名誉が無しでは生きていけない女の強欲さが滲み出ているように感じてしまったからだ。 そういう意味ではこの映画が夫を、目の前で失った悲劇の未亡人として無駄に同情を誘うものではなく、比較的ドライに描いたこの作品は観やすかった。 しかし描かれていた暗殺後3日間のジャッキーの姿は、決して虚栄心の強さだけではない、時に迷う普通の女性だったこと、そしてそれでもやはり彼女はファーストレディになるための能力に恵まれて生まれてきたんだということを教えてくれた。 この作品を観たからと言ってやっぱりジャッキーを好きになるわけではないけれど、私には絶対にない、「夫の終焉までも完璧にプロデュースできる」能力の高さと、彼女の持ち前の気高さにはただただ感服させられる。

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