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2017年4月1日公開

はじまりへの旅 (2016)

CAPTAIN FANTASTIC

監督
マット・ロス
  • みたいムービー 191
  • みたログ 17

4.09 / 評価:11件

キャプテン・ファンタスティックという視点

  • Shoko さん
  • 2017年3月3日 20時26分
  • 閲覧数 466
  • 役立ち度 10
    • 総合評価
    • ★★★★★

2016年10月にオーストラリアで鑑賞。
下記はその時に書いたレビューです。

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この映画、設定はとてもヒッピー的で、資本主義の現在のアメリカ社会に疑問をもって、子供達6人と大自然の中で生活する主人公、ベン(ヴィゴ・モーテンセン)と彼の家族を描いています。

でもただコミューンで自給自足をするフラワーチルドレン的夢物語ではなくて、ベンは自分の7歳から18歳までの子供たちに獣を狩ることを教え、肉をさばき、野菜を育て、身を守るために戦う訓練をし、厳しいエクセサイズで肉体を鍛え、音楽を嗜み、外国語を学び、たくさんの本を読み、記憶し、分析し、ディベートし、クリティカルシンキング(批判的思考)を持つことや哲学的思考をうながす人生の教育を与えます。
クリスマスの代わりに彼の家族はノーム・チョムスキーの誕生日を祝う、、(チョムスキー博士は有名な言語学者であり思想家です)。

でもその誕生日祝いとしてベンが子供達にプレゼントするものは狩猟用のナイフであり、年齢を考慮することなくどんな質問にも嘘やごまかしのない答えをし、死の危険もともなうような断崖絶壁でのロッククライミングで子供達を鍛えるのです。

見ている私たちは、ベンが家族のために築いたユートピアに共感しつつ、一般的な常識を逸脱したクレイジーさに驚かされる、という繰り返しになりますが、そんな中、躁鬱病で家族から離れ入院していた奥さんが自殺し、家族はあるミッションを抱えてその葬儀に参列することに、、。
そこではじめて現実の社会と遭遇することになる家族を待つものは、、。

本作が第69回カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」で監督賞を受賞したと知って、心から納得です。
まさに「ある視点」。
この映画をみて批判的な気持ちになる人もきっといることでしょう。
それでもこの監督の提示する視点を通して、私たちはたくさんのことを考える。
とても面白く楽しんでみられる映画だけど、同時に社会のあり方や子育てや教育、宗教など、いろいろな面で考えさせてくれる映画。
私たちにもクリティカルシンキングを促してくれるような映画。
Interesting!(と言うのは禁止、と映画が教えてくれます。深いな~。)

ヴィゴ・モーテンセンが最高です。もともと彼自身、詩や絵画などハリウッド俳優とはちょっと違う趣味をもった知的なアーティストだし、その役柄にとても信憑性がありました。
そして6人の子供達も、まるで本当に森の中でヴィゴを「キャプテン」として暮らしていた家族のよう。
一人一人がとても素晴らしいです。

アメコミ映画のようなタイトルや、派手な服装の家族写真の映画ポスターで、もしかして内容を誤解されることがあったら残念だな。
鑑賞しがいのある映画でした。
四つ星半。

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上に書いたアメコミ映画のようなタイトルについて説明すると、原題は「キャプテン・ファンタスティック」というのです。
なるほどだから邦題は「はじまりへの旅」になったのかな。
でも慣れてしまうと「キャプテン・ファンタスティック」の方が楽しみがあるタイトルだと思います。

アカデミー賞主演男優賞にノミネートされて、ヴィゴさん、嬉しそうでした。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • コミカル
  • 切ない
  • 知的
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