ここから本文です

グッド・ネイバー (2016)

THE GOOD NEIGHBOR

監督
カスラ・ファラハニ
  • みたいムービー 16
  • みたログ 283

3.47 / 評価:215件

人間の心の中はカメラでは覗けない

  • raz***** さん
  • 2020年11月10日 19時16分
  • 閲覧数 319
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

出だしは結構よかった。

特に「実験」や「客観性」というセリフで、ちょっとワクワクした。さらに、そこに法廷のワンシーンを挿入することでストーリーがほどよく複雑になって視聴意欲が向上した。

でも、少ししたら主人公イーサンが悪ふざけを始めちゃって実験とは名ばかりのただの悪戯だと判明すると、ストーリーに魅力がなくなってしまい失速した。子供の悪戯をずっと見せられてもつまらないし、子供のケンカは見ていてイライラした。

結局、序盤で見せた法廷部分も大した話はなくて、盛り上がりも特にはなく最後は尻つぼみな感じで終わってしまった。




救いがあったとすれば、悪戯の被害にあったお爺ちゃんは悪戯が嫌で自殺したのではなくて、死に別れた妻があの世から呼んでいると思って幸福な気持ちで拳銃の引き金を引いたかもしれないってところだろう。でも、裁判に出席した誰もがお爺ちゃんは自殺願望というか悲観的な気持ちであの世に行ってしまったと思っている。

この彼我の食い違いが強調されるストーリーになっていて「カメラでいくら撮っても人間の心の中までは見えない」って言っている感じがする。だから、ラストシーンでは悪戯の犯人である主人公イーサンの何とも言えない無表情な顔をアップで長く映して終わったわけだ。彼が何を考えているかなんて誰にもわかりはしないと言いたげなエンディングだった。



そうだとすると、お爺ちゃんの家の中に隠しカメラを設置したことは、お爺ちゃんの心の中をカメラに収めようという意図があったように思えてくる。つまり「家=心」という図式だ。そして、鍵がかけられた地下室はお爺ちゃんの心の中でも特に隠されている部分を表していて、そこに妻の思い出が収められていた。

お爺ちゃんは妻にすごく優しかった。しかし、孤独になった後のお爺ちゃんを見てもその妻への優しい気持ちを感じとることはできない。心の地下室に隠しているからだ。イーサンがその地下室の中を見なければいけないと直感したのは、そこに犯罪の陰を見たからだが、もしも強引にではなく、ちゃんと話して中を見せてもらったならばイーサンの誤解はちゃんと解けていたはずだ。

映画の中盤、お爺ちゃんは警察官に地下室を見せた。これは驚きの行動だった。映画の前半では家の中を見せることすら拒否したのに家の中どころか地下室まで許可したのは普段のお爺ちゃんの性格からは考えられない行動だった。この行動から、お爺ちゃんの心に優しさが戻ったように考えられる。地下室に長時間いたことがお爺ちゃんを変えたのだろう。



ところで、イーサンは共犯の友達の部屋にも隠しカメラをしかけていた。バレて怒られたイーサンは本心が知りたかったとその行為を弁明した。彼は他人を心から信用できない性質なのだろう。強引にでも心の中を覗き見て、信頼のための確証を欲したわけだ。しかし強引にすればするほど本心は見えてこなくなる。人間関係は実験では測れないのかもしれない。



ということで、けっこう良く考えられたストーリーだと思う。
でも、やっぱ胸糞感が感動の邪魔をしてしまう。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ