ここから本文です

LION/ライオン ~25年目のただいま~ (2016)

LION

監督
ガース・デイヴィス
  • みたいムービー 1,797
  • みたログ 5,200

4.10 / 評価:3808件

感動より“苦悩”が余韻となる

  • Kurosawapapa さん
  • 2017年4月21日 7時07分
  • 閲覧数 8085
  • 役立ち度 74
    • 総合評価
    • ★★★★★

アカデミー賞では、助演男優賞(デヴ・パテル)、助演女優賞(ニコール・キッドマン)をはじめ 6部門でノミネートされた作品。

迷子になったインド人の少年が大人になり、家族と奇跡の再開を果たす、、、
そんなストーリーを予想していたが、本作にはそれ以上のメッセージが存在。

浮き彫りにされるのは “苦悩” と “葛藤” 。
見る側は、登場人物の苦しみに満ちた心の深淵へと導かれていく。


前半に描かれたのは、迷子になった主人公の幼少期。
背景にあるのは1986年のインド。
貧困に満ちた混沌世界。
小さな主人公にとって、貧困 かつ 無情 な世界は、あまりに広過ぎる。

多用されたのは、カメラの位置を低くした子供目線の映像。
また、人身売買や性的奴隷を “想像” させる映像も。
あえて裏で何が起きているのかを明確に描かず、
 “不安” “寂寥” “畏れ” を増幅させている。

幼少期の主人公を演じたサニー・パワールの演技は天才的。
人の心を見透かすような眼差し。
その奥に秘めた、純粋、悲哀。
彼の表情には、思わず吸い込まれてしまう。

育ての親を演じたニコール・キッドマン。
彼女もまた苦悶する重要な役を演じており、実力派女優のニコールをキャスティングしたのは大正解。

本作で一番印象的だった彼女の一言↓
「 (自分の)苦しみなど、どうでもいい、、、 」

義母として養子の兄弟2人に向き合っていく覚悟。
苦しみをはね除け意義ある人生を全うすべく、強靭な一言に身震いする。


主人公の心から、決して離れることのない生地、そして 家族。
「 母の叫び、兄の叫びが聞こえる 」、、、そんな苦しみ。

また、育ての親を裏切ることになるため本当の自分をさらけ出せない、という葛藤。
それゆえ、自分以外の人間を受け入れることができず、今ある現実に浸透できない、、、

それは、他人の思いやりも全く寄せつけないほどの苦しみだ。

親とはぐれ迷子になった子供は、
野たれ死ぬか、人にさらわれるか、施設に入るか、幸運にも養子になるか、、、
しかし結局は、どの選択肢も幸せにはなれない。
本当の家族に会わない限り、、、


中盤で、岩山の上に見えた人影。
それが誰なのかが分かるラストシーンは、思わず胸を熱くする。

実話としての迫力だけではない、
本作の優れた部分は、登場人物の心理描写。

最後は多々感動するが、本作は それ以上に “苦悩” を知らしめた人間ドラマといえる。

インドでは、毎年8万人の子供が迷子や誘拐で行方不明になっている。
単純に計算しても、この映画で描かれた 8万倍の苦悩 が、インドには存在していることになる。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 悲しい
  • 不気味
  • 勇敢
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ