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メアリと魔女の花
2017年7月8日公開

メアリと魔女の花

MARY AND THE WITCH'S FLOWER

1022017年7月8日公開

pnk********

3.0

ジブリ風のタッチ、質はもう一歩足りない

ジブリ風のタッチで描かれる魔女の物語ということだが、物語の質としてはジブリに一歩及ばない印象。 宮崎駿は物語の中で、人物の心の成長や葛藤や、文化観や自然観もきちんと描いているので、作品に深みがある反面、こちらはただ物語が進行しているだけなので、琴線に触れるところが少ない。つまり壮大なアンパンマンなのであって、アンパンマンは確かに名作なのだけれど、ジブリのような深いしみじみとした世界観や、余韻の残る物語、どこか郷愁を感じさせるような雰囲気を期待していると、物足りなさを感じる。もちろんジブリでないのだから、それを求めること自体変なのかも知れないけれど。 具体的に言えば、もう少し人物に光を当てて、その人物の人生が現れるようなシーンがあると嬉しい。例えば、何の取り柄もない退屈な日を送っているメアリが、魔女のように何でもできるような存在に憧れているとか、そういう些細な描写があるだけでも作品の方向性が変わってくる。それで、最初は魔法で好き勝手にやって、ピーターを変装させて魔法大学に連れてきて自慢するとか、そうやっているうちに動物の実験室を見つけてしまい、魔法を悪いことに使っている人間を見て、魔法が良いものであると思えなくなるとか、あるいはピーターは魔法に全然興味がなくて、魔法なしでも地上で懸命にたくましく暮らしている、メアリもピーターと過ごすうちに、次第に魔法に頼らなくても良くなったけれど、魔女の花の存在のせいで、校長から追われる羽目になるとか。(以上、素人の浅知恵ではあるけれども)いくらでも人間模様は描けるように思えた。 そして、そういう描写があれば、ラストのメアリの行動にも、説得力や感動がもっと生まれるような気がした。 ------------------------------------------------ 魔法大学という何でもできる素材があるのに、活かしきれなかったし、魔法という面白い材料も、うまく料理する暇がなかった。 ピーターも、ピーチ姫のような存在で、助けるだけの対象なのはもったいない。 黒猫も可愛いけれど、それだけである。 要素は詰め込んだけれど、全てが曖昧に終わってしまった印象。あるいは、要素を詰め込みすぎたのかも知れない。 かといって、詰め込んだが物足りないところもあって、例えばイチゴジャムをピーターに渡すくだりも、おばあちゃんがキラキラ光る美味しいそうなジャムを瓶に詰めるところから描けば、ひょっとするとシーンとして映えたりするのではないか。それを見て、メアリが目を輝かせば、純粋さを表現できるし、つまらなそうに見ていれば、屈折した心を表現できるし、ただジャムを渡すよりも意味を持つような気もする。 ------------------------------------------------ もちろん丁寧に作られているし、エンターテインメントとして、細かい人間模様を排したことで、単純に面白く見られるアニメになったとも言える。これだけのアニメーションを作るは相当骨が折れるのは知っているし、脚本を組み立てる難しさも心得ているので、新しいスタジオでの初長編で、ここまで作れるというのは、次回作の期待感も膨らむ。 ※見当違い、不快な点あるかもしれません。全て素人感想とご容赦ください。

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