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新感染 ファイナル・エクスプレス (2016)

TRAIN TO BUSAN

監督
ヨン・サンホ
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4.04 / 評価:3,783件

解説

カンヌ国際映画祭やシッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭などで話題となったパニックホラー。感染した者を凶暴化させる謎のウイルスが高速鉄道の車両内にまん延する中、乗客たちが決死のサバイバルを繰り広げる。『トガニ 幼き瞳の告発』『サスペクト 哀しき容疑者』などのコン・ユらが出演。群れを成して襲い掛かる感染者たちに恐怖を覚える。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

別居中の妻がいるプサンへ、幼い娘スアンを送り届けることになったファンドマネージャーのソグ(コン・ユ)。夜明け前のソウル駅からプサン行きの特急列車KTX101号に乗り込むが、発車直前に感染者を狂暴化させるウイルスに侵された女性も乗ってくる。そして乗務員が彼女にかみつかれ、瞬く間に車内はパニック状態に。異変に気づいたソグは、サンファ(マ・ドンソク)とその妻ソンギョン(チョン・ユミ)らと共に車両の後方へ避難する。やがて彼らは、車内のテレビで韓国政府が国家非常事態宣言を発令したことを知り……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.
(C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.

「新感染 ファイナル・エクスプレス」ゾンビ映画の新境地へと観客を運ぶ、究極の特急サバイバルアクション

 日本の映画宣伝は「ゾンビ映画」という売り文句を避ける傾向にある。ジャンルを明示して、客層が狭まるのを恐れるからだ。そこで「感染パニック」などと婉曲な言い回しで煙に巻き、不特定多数の興味をあおる。かつては「トランスフォーマー」シリーズもこうした顰みにならい「謎の生命体」と正体をボカされていたっけ。日本でトランスフォーマーを秘す意味不明さは置いといて。

 どうあれ、とかく映画ファンに評判の悪いこの傾向には、自分も辛辣な態度をとってきた。しかし「新感染 ファイナル・エクスプレス」は、むしろそういった目隠し宣伝の正当性を証明しており、少し口惜しさを覚える。ゾンビパニックと鉄道サスペンス、そしてロードムービーを融合させた本作を「ゾンビ映画」という狭義に収めるのは確かにもったいない。この映画はまさに究極の特急サバイバルアクションとして、ジャンルの臨界点を易々と超えているのだから。

 特急と言ったのは他でもない。物語は韓国の特急列車・KTX101号が主舞台だ。ソウル駅から釜山駅へと向かうこの長距離列車の中で、ウイルスに感染した人間がゾンビ化し、乗客たちは狂騒の渦に巻き込まれる。映画はそんな凶暴な怪物と乗客との、緊迫に満ちた死闘が繰り広げられていく。車内という限定空間、しかも停車駅にも大量のゾンビが待ち受け、下車を試みても阻まれてしまう。乗客は増え続けるヤツらと戦いながらも、列車はひたすら走り続けるしかないのだ。

 このムチャをこねて固めたような展開を、肉厚な人間ドラマで納得させてしまうのが韓国映画だ。極限下に置かれた乗客どうしの軋轢が、事態をこれ以上ないほどに悪状況へと向かわせ、加えて主人公ソグ(コン・ユ)と娘スアンのエピソードが、観る者の感情の持って行きどころを「怖さ」だけに留めず拡げていく。仕事で家庭を顧みなかった父が、ゾンビとの戦いを通じて子との絆を取り戻す。そんな二人の末路もまた、ゾンビ映画という枠を超えた感動をもたらすのである。

 また恐怖描写も、コリアンホラーの流儀にしたがい加虐的だ。人間めがけてゲリラ豪雨のようにダイブしてくる大量のゾンビや、車両にへばりついたゾンビが磁石につく砂鉄のようにつながり、列車をストップさせそうになるなど、それらは過去に山ほどあるこのジャンル作で、ついぞお目にかかったことがない。

 飽和状態でオワコンの危険性ただようゾンビ映画。本作は、その革命を告げるホーンを鳴らしながら、まさに特急列車のごとく観る者をジャンルの新境地へと運ぶ。そんな全人類に薦めたい「ゾンビの車窓から」なのである。ソンビの車窓から……って、オレ自身が目隠し宣伝を非難できるセンスじゃないけど。(尾崎一男)

映画.com(外部リンク)

2017年8月24日 更新

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